プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 河盛好蔵「私の随想選 第二巻 私のフランス文学 1」

2024年01月29日 | ◇読んだ本の感想。
フランス文学などと言われると、一体何を小難しいことを読まされるんだろうとおびえるが、
この本はだいたいにおいて読みやすかった。ただ正直に言って、ヤヤコシイことを
書いている部分は飛ばした。全体の10分の1はなかったと思うけど。

フランス文学の軽い人物伝に落ち着くから、怖がることはないですよ。
気軽に読める本。まあ全体のページ数は少々多めだけれど、ユゴー、バルザック、
モーパッサン、などをさくさくっと書いていて、まあ逸話集みたいな感じ。

この人のエッセイは2冊目――1冊目は「私の随想選 第一巻」なわけだが――
人柄の良さがにじみ出ているようで、読んでいてとても気持ちがいい。

戦前に青春時代をパリで送った。……こう聞くだけで、非常にぜいたくなものを感じる。
まあ昔がなんでもかんでも良かったわけではないはずなのだが、
もっと人の心に余裕があって、情報によって殺伐としてない、人の暮らしがあった
イメージがあるのよね。愉しい日々だっただろう。

インターネットは世界をほんとに近くした。それは功ではあるけれども
彼我の比較を容易にし、均質化を促進した気もするのよね。
知識はコミュニケーションの手段で、武器になりうるし、多様な文化を受け入れることは
素晴らしくはあるが、反面、異文化との接触の時に感じる新鮮な驚きが減った気がする。
まあこの言い方は陳腐か。実体験の新鮮さは程度が違う気がするし。
罪はむしろ「わかった気になってしまう」ことか。

随想選は全7巻あるのよねー。まあのんびり読んでいきます。
続けて読むと飽きるだろうから、ゆっくりめに。
次もフランス文学で、その次は日本文学について2冊分。
フランス漬けのこの人が、日本文学についてどういう風に語るのかが楽しみ。

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