吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

古時計

2009年11月02日 | 道具
ヨーロッパの古い町には中央広場があって、そこには教会堂や市庁舎があってそこには時計があります。
カリヨン(組み鐘)や天体時計、人形カラクリが組みこまれていたりもします。
人々を支配するために、まず時を支配したのですね。
支配者は教会であったり、王であったり、都市の参事会であったりしました。

さて、その時計の歴史とはほとんど関係ありません(爆)。

うちのメインの時計は頂き物の古い日本製ゼンマイ柱時計です。

拡大
21DAYと書いてあるのですが、それほどは持ちません、まあ、新品時の性能でしょうけど。でも2週間以上は十分持ちます。
振り子時計の精度は振り子の調整次第です。今まで少しずつ補正してきたので、だいぶ精度は向上しています。
月に一回くらい1~2分の修正で実用上問題ありません。

各時間のの数の時報と30分毎に一度、金属の棒をハンマーで叩いて「ボーンボーン」と鳴ります。
金属棒は2本、長三度に調律されていて「バンボーンバンボーン」と鳴るのが本来なのですが、手に入れたときにはすでに高音側の棒が外れていました。部品がケース内に残っていたので修復してみたのですが、却ってうっとおしかったのでまた低音一本にしてあります。

時々ゼンマイを巻くのを忘れない限り、当家の時の支配者として働き続けます。
考えてみると凄いですね。
手でゼンマイを巻くというエネルギーを与えるだけで、ろくな整備もせずに数十年間生き続けるのです。
このエネルギーは人力がゼンマイに蓄積されたものです。つまりは人力です。
人力というのは最も素晴らしいエネルギー源です。

しかし…、
少しでも傾けてしまうと振り子が停止してしまいます、それもかなりの時間が経ってからです。
例えば荷物を持っての通りがかりにちょっとぶつかって傾いたりしたら、忘れた頃に止まってしまうことがあるのです。
それからゼンマイの巻き忘れ。
いずれも何の警告も予兆もなく止まります。
「わーっ!時計が止まってる!」
そう、いつだって信頼しても油断は禁物なのです。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しまりす)
2009-11-04 00:01:24
大きなのっぽの古時計

手巻きというもいいですね。
以前使っていた腕時計が、手巻きでした。
巻くのを忘れて、よく止まってしまった。

我が家には、柱時計も置時計もありません。
ずっと探しているのですが
気に入ったものがなかなか見つからなくて。

教会の鐘の音で、
大体の時間を把握できます。






返信する
行きたいっ! (ひろにゃんof風琴屋)
2009-11-05 21:46:07
しまりすさん、ようこそ!

いいなあ、教会の鐘の音が聞こえるの。
以前、アムスの新教会脇のアパートに住んでいた時は
すぐそばで鐘が鳴っていたのですが、あれがうるさく
ないのですよね。大きい音なのに。

時計はそちらならアンティークの良いヤツがたくさん
あると思いますけど。
オルガン時計の古いのなんて出物がありませんかね?
また行きたいなあ!クリニャンクール。
返信する

コメントを投稿