アンビバレントな関係

くつろいでいると、彼女が僕のところに来た…

僕のひざに座り、背中を僕にもたれかける、それから体をくねらせ僕の背中にまわり、肩を乗り越え前へ落ちる…。

あまりにひっつくので家内が訊く、
「パパのこと大好きなの？」

「…別に、普通」

ああ、そうかい。同じような状況で、面と向かって「大好きじゃない」と完全に否定することもあるから、今日は多少マシということね。

どうも娘7歳は、僕に対してアンビバレントな感情を持っているようです。
思えばこの子とは、生まれたときから何か一筋縄で行かない予感がありました。

生まれて3日目に、病院から家に帰って来ました、アメリカだったので。
それでも1日余分に入院させてもらっていたのですけど。

抱き上げると、泣きながら全力でもがいて逃れようとする我がいとしき娘！
家内が抱くと、すぐに落ち着いて安らかな笑顔に…。

何度やってもダメなのでした。眠りかけの時でも、僕が抱くと覚醒して泣くのでした…。
泣きたいのはこっちじゃ。

思えば上の息子は逆で、僕でないと落ち着かなかったのですけど。

なにしろ、僕も初対面で、しかも子供にあれほど嫌われた経験が無かったので（その後もありません）、おおいに戸惑ったのでした。
干支も誕生日も血液型も一緒というのがマズかったのか？
などと色々考えたものです。

その後、娘が生後7ヶ月程の頃から約半年、出稼ぎのため離れることになったのですが、再会した頃にはまあまあ普通の関係になりました。

しかし、今でも、たとえば娘が自分自身に気合を入れる時など、
「よーし、パパには負けないぞ！」
などと言います。
全然関係ない場面で、何でパパを引き合いに出すんだ？
いったいオレにどんな感情を抱いているんだ？

そりゃあ、お年頃にでもなればね、仕方が無いとも思うけどね。
オヤジなんてウザいとかクサい（これは今でも言うけど…）とかダサいとか、廃棄物のような扱いをするんだろうけどね。

…でも、もうしばらくはシンプルな関係でいて欲しいものです。