吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

♪ねーばーえんでぃん…

2011年04月13日 | 思うこと

なかなかストレスの溜まる日々です。

仕事の先も見えません。
事故の出口が見えていない原発自体とその周辺から次々と見えてくる国や役人や財界のドロドロ。

イライラしてすべきことに集中出来ません。
怒りや憎しみ、ドス黒い感情が自分の中に満ちて行くのを感じます。

今の政権政党、総理大臣、電力会社、財界に怒りの矛先を向ける人も多いですが、彼らとてラスボス
(最後の大ボスのことね)ではありません。
その向こうに蠢く得体の知れない大きなモノ。

大抵の戦いモノ、特にアクション映画はほとんどラスボスがいて、そいつがヒーローに気持ちよくヤラ
れてすっきり、です。

得体の知れない敵と戦う話で思い出すのは、「ネバーエンディング・ストーリー」です。
映画として見ているのは最初の作品と第2章だけです。
はっきり言って映像作品としては第2章は第1作に圧倒的に劣ります。
レビューなどを見ても酷評されていたりします。役者もショボかったし。
Wikipedia ネバーエンディング・ストーリー 
を見るに、第1作の方が原作に近かったけれども、原作者のミヒャエル・エンデはこの第2章がお気に
入りだったらしい。
僕もそう感じます。第2章の方が「エンデ節」って感じでね。

記憶だけで語りますので、いろいろ違っているところはあるでしょうけど。

弱虫少年バスチアンが夢の世界ファンタージェンを救った前作の続きということですが、前作とあまり変
わり映えしないというか焼き直しっぽい設定です。
直接の敵は魔女ザイーデですが、その黒幕は「空虚」という正体不明の存在です。
たしかに映像は良くないし、主人公もイライラしていてすっきりしないです。

主人公の武器となるのはアウリンという2匹のヘビが互いにしっぽをくわえて絡まっているようなヤツで
これで願いが叶うというものです。
ただ、この強力な力は使う毎に大切な思い出が奪われるという設定です。
この設定は好きですね。
大きな力の行使に必ず犠牲が伴うというのは、神話世界からのお約束です。
思い出や記憶というのは大したものでないように感じるかもしれませんが、人間の人格、その大元のアイ
デンティティは記憶に支えられています。
多重人格という症状は記憶を抑圧することから始まるといいます。

徐々に蝕まれていく世界、すっきりしない主人公、かっこよくない脇役という印象ばかりが残る展開は終盤
の対決でカタルシスを得られます。
ネタばれですけど、まあすでに広く公開されているものですからそこはお許し願って。

魔女ザイーデと対峙したバスチアンはあとひとつしか願いを叶える力が使えません。
ファンタージェンを復活させなければならないけれど、魔女を倒さなければまた破壊が繰り返される。
魔女を倒しても失われた多くのものは戻らない。残りひとつの願いでどうするのか。
この難題の答えが良かった。

魔女ザイーデの心に愛を!


憎い相手、敵の心に愛を、か。それは確かにすべてを解決出来る最高の手段です。

政治家、役人、電力会社、財界人の心に愛を!

ムリムリムリ


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4 コメント

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Unknown (G.OKA)
2011-04-13 23:46:03
こんばんは、システムが大きくなりすぎたんでしょうね。
上層部はイエスマンの防波堤に守られて末端のレスポンスが判らない。
結果として自分の好き勝手が通ると錯覚してしまうんだと思います。
そこが街の八百屋と違うところではないでしょうか?

>政治家、役人、電力会社、財界人の心に愛を!
愛人はたくさんいそうだけど(笑)

最近、何故か豊田商事の結末を思い出すのですがどーしてかなぁ~
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ファンタージェン (ひぐちあきお)
2011-04-14 00:06:58
アウリンの偶像は「太極」のマークのモンタージュでしょうね。万物の根源であり、ここから陰陽の二元が生ずるとする。易経の陰陽思想であります。
陰陽つまり男と女、ってことはそのものが人間をあらわす直喩であって、その脅威となる「空虚=無」こそは、人の心の中に巣くう絶対悪。
結局はファンタージェンは、この世を写し取った鏡なのだと、ぼくはエンデの原作を読んだときに理解しました。

ここまで政府に利用され、瞞され、苛められ、徹底的になぶられてもなおかつ、いじましいほどにその政府を信じようとする日本国民の真面目さの裏側には、おそらくこの「虚無」があるのでしょう。
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現場を知らぬ者 (ひろにゃんof風琴屋)
2011-04-14 23:05:36
G.OKAさん、ようこそ!

現代の巨大な会社のトップ連中というのは、その会社でこつこつやってき
た人ではなく、全然別のルートからその地位に舞い降りた人が多いようで
す。
自分の会社の業務内容を素人レベルでしか理解していない社長が多いよ
うな気がします。

昔の国鉄なんかでは幹部候補組でも数年、現場でしごかれたといいます。
僕は、現場で手を汚し、智恵を絞り、もがき駆けずり回った人間じゃないと
信用出来ませんし、ましてそうでない人物をトップに頂くことなんて認めら
れません。

豊田商事って、あの事件から僕は「探偵物語」の最終回を思い出します。
(ご存じ?)直接的すぎる復讐劇は当時は受け入れ難かったのですが、今
はいっそあれくらいのことがあった方が……なんて思ったりもします。
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今度こそ忘れないように (ひろにゃんof風琴屋)
2011-04-15 01:30:41
ひぐちさん、ようこそ!

今回の原発事故では、重要な責任を負っているはずの組織の人達は、週1回、最低
で10分ほどの会議とやらをして、1600万円あまりの年収を得ていたといいます。
そりゃあ、僕だって楽してお金を儲けたいですけど、ものには程度と限度があります。

どうしてそれほどまでに貪欲になれるのでしょうか?

欲が強い者と弱い者が対峙した場合、大抵は欲が強い者が勝ちます。
能力や智恵以上に欲が強い要素です。

平凡に自然環境の良いところでのんびり暮らしたいという向きはこの点で決定的に弱
いのですよね。
平凡を強く求める心を持たなきゃならない。平凡欲?
なんだかそれも変な気がしますね。

忘れやすさが特徴の日本人ですが、この痛みと怒りは、向こう数十年以上は続くのですから、
今度こそ忘れないようにしなければなりません。
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