検死報告によると、クラレンドン氏が殺されたのは午前3時から9時の間である。ノーラン邸(46WC)につかえる女中は、この間のアリバイを証明できるだろうか。

われわれはフランシスの女中、グレースと話をした。それによると、7月1日の夜、トリベリアン医師は10時ごろまでノーラン邸にいたという話だった。
「トリベリアン先生がお帰りになったあと、フランシス様がココアを持ってくるようにおっしゃいましたのでお部屋までお持ちしました。それから自分の部屋にさがるために階段を登る途中で、お嬢さまのお部屋のほうを見ますと、も う灯りは消えていました。そのとき1階のホールの時計が半時間ごとの鐘を鳴 らしましたから、たぶん11時半だったと思います。
その夜わたくしは夜中、というよりもう朝方でしたが、なにか物音を聞いたような気がして目をさましました。しばらく耳をすましていましたが、それ以上なんの音もしませんでしたのでまた眠りました。翌朝、7時半に起きて、身仕度を整え、8時にはフランシス様の朝食の準備をするために階下に降りていきました。
台所に入ってまもなく、正面玄関が開き、すぐに閉まる音がしました。見ると、フランシス様が通りを歩いていかれるところでした」
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