笑い方に特徴のある女...?われわれはロレッタ・ノーランの自宅(21SW)へ向かった。
ロレッタ・ノーランの家の玄関口に現われた召使いはまるで古代エジプトの壁画から抜け出してきたような格好をしていた。蛇をあしらったヘアバンドをし、腰に三日月刀までぶらさげたこの男は、われわれをなかに入れるのをしぶったが、借金とりではないことがわかるとやっと玄関口を通してくれた。居間に入ると、ロレッタ嬢は大きな絹のクッションを並べ、その上に長々と寝そべっていた。
彼女は玄関口に出た召使いと同じような衣装、肩のところできれいに切りそろえた髪にヴェールをかぶっていた。その雰囲気をいっそう盛りあげるためかどうか、色とりどりの細長い布が赤い紐で部屋のあちこちに吊るされ、波うつように宙に浮いていた。いきなりこの部屋に連れてこられたら、古代エジプトの神殿に迷いこんだと錯覚してしまうだろう。
「入って名を名乗れ! 余は女王なるぞ」ロレッタは水ぎせるをくわえたまま顔を上げると、命令口調でいった。
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