アイ・ラヴ・サンデー

　５～６年前に３年間事務職をやった時、日曜と月曜が定休だった。事務局に
行かないだけで自宅でも大車輪の日々ではあったが、明日は出勤しなくていい
と思うと土曜日はホッとしたものだ。そのせいか今も、日曜に仕事がない時の
土曜日はウキウキする。


桜、つつじ、バラ、そして今ドクダミの最盛期
もうすぐ紫陽花。自然の循環にホッとする

　仕事がない日曜は、Eテレで朝９時から“日曜美術館”観るのが楽しみだ。
今週は、上野に来ている大英博物館展の特集。解説者がとびっきり魅力的
で釘付けになった。いつもの司会役二人（一人は男優、もう一人は女性アナ）
も好きだが、この日はその二人も解説者の魅力に惹きつけられていた。

　解説者は言う。「言葉が生まれる以前も以後も、歴史は物（美術品や雑器や
墓の装飾品等）を良く視る事で読み解けます」「木や石からこんな素敵なものを
作ってしまった！という作者の喜び、観る者の喜びが伝わるでしょう。本当に小
さくて可愛くて大好きですこれ、私」「海を隔てた遠い国で生まれた器が、その
美しさに感動した日本人の手で金継ぎ（割れた器などを純金で継ぎ合わせる手法）
までされてホラ、こんなに素敵な美術品に。使い捨て大量生産の現代には無く
なってしまった価値観と美意識ですよね」「それぞれの民族や、権力者の考えや
想いが、どのモノにもしっかり現れていて面白いでしょう」

　　オーストラリアの原住民アボリジニが今も使っているという担ぎ紐付きの籠。
さほど大きくないその細長い籠に生活必需品は全て入ってしまい、家を持たな
かった彼らは飄々と眠る場所を変えて、雨露をしのぎ生きていたらしい。
　そういえばアフリカには今も、定住せずに簡易テントを作っては転々と暮ら
す民族が居る。

　その死生観、価値観のなんと宇宙的なこと。危険で安定はせずとも、自由で
おおらか。彼らは素晴らしい岩絵や、精密で丈夫な手編みの篭や、遠くまで届
く不思議な音を出す楽器を遺した。


日曜の松原キャンドルナイト

　しかし、やはり戦争はあった。略奪や残酷な圧政、干ばつや水害も繰り返し
あった。それらをのり超えて、美しいもの、面白いもの、笑顔をもたらす物を
生活の中に見つけて創ってきた。遺跡や美術品たちは、そんな人類の大小
様々な喜び、苦しみの歴史と知恵と叫びを語ってくれる。そこから学ぶことが
如何に多いか・・・壊さないで欲しいと願う。

　そしてわたしも、舞台の上に喜びを創る人でありたい、と願う。