きょう、民放のニュース番組を視聴しながら慣用的な言い方から外れた発言に触れて「おやっ」とおもう。
スタジオ出演者眞鍋かをりとインタビュー動画の中の河野太郎、いずれも「耳ざわりのいい」という言い方を口にしていた。四十代の眞鍋かをりと六十代の河野太郎、漢字を宛てて意味を明かにすれば、両人とも「耳触り」という表現を使っていたことになる。
もともと「耳ざわり」は「耳障り」であり、気に障る不快感を言い表す日本語だったはず。
おそらく「手触り」から連想された「耳触り」を意味の核心と捉えた結果だ、と思われる。
手元にある国語辞書で確認してみたところ、
・明鏡初版では「耳触り」を誤用とする。
・新明解第六版では「耳触り」を俗用とする。
中年と老年、いずれも日本語話者である両人が「耳触り」ということばを使っていた、ということはすでに広く一般化している言い方だと言える。誤用とするより俗用とするほうが適切な判断か。
註、ことば探査が眼目であり、敬称は省略した。御宥恕を請う。