報道番組の視聴中、経済評論家として紹介されていた加谷珪一がトランプ大統領を交渉を進める上で「てづよい相手」だ、という言い方で解説を加えていた。
「てごわい相手」ではなく「てづよい」と言及したことは「手強い」という漢字表記を記憶の中にとどめていたことが引き起こした言い間違いであり、子供の頃に日常生活の中で習得した語彙ではなかったいえる。
言い間違いは若い世代だけの問題ではなく、五十代の経済評論家にも見られる現象であり、ことばの獲得が普段の会話の中で得られたか、どうかにかかっている、と言える。
漢語「強」には強い意味だけでなく堅い意味もあり、日本語の「こわい」に漢語「強」を当てたもの。「強飯」は「こわいい」、「強面」は「お」母音の脱落が起こり「こわもて」に当てられた漢字表記であり、意味は「強面」と異なるけれど「強持て」という漢字表記も使われている。
言い間違いは気づけば上等、それ以下でもなく単純な知識レベルの問題でしかなく、話し言葉の中で語彙は身につけていきたい、と思う。