節約の達人が「キャッシュレス」なるべく回避の訳 ポイントは「罠の餌」だと思って一切もらわない
2025/01/28 15:00様記事抜粋<
「お金をおろすときは3万4千円」「クレジットカードは2枚だけ」「年金は受給開始になったら即座にもらう」――。
12万部超えのベストセラーとなった『節約の王道』の著者・林望さん。15年ぶりに上梓した『節約を楽しむ』では、林さんが日々実践している節約術が紹介されています。
その中身は、意外にも時代の流れに逆行するものが多くあります。林さんに、その真意を聞きました。(本記事は『節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由』から一部を抜粋、編集したものです。)
お金は大事。だからしっかり考えたい
今や、老いも若きも、男も女も、まるで強迫観念のようにキャッシュレス、キャッシュレスと大いに盛り上がっているように見えます。が、果たして本当にそれが我々ユーザーのためになっているのだろうか? ということを、実は誰も考えていないのではないかと私は思うのです。
経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済は全体の39.3%(126.7兆円)。その内訳は、クレジットカードが83.5%、デビットカードが2.9%、電子マネーが5.1%、コード決済が8.6%なんだそうです。お店によってはクレジットカードか電子マネーでしか支払えない、現金が使えない、そんなところもあります。そんな店のありようを見ると、まるで、「キャッシュレスにあらずんば人にあらず」とでも言いたいかのようです。
しかし、本当にこのまま、キャッシュレス化が進んでいっていいのでしょうか?
世間の流れに合わせてあなたも私もキャッシュレス……それでいいのでしょうか?
大事なことは自分の頭で考えること。
お金のあれこれを人任せにしないこと。
私がこれまで大事にしてきた生き方です。お金ほど大事なものはなかなかありません。だからこそ、自分の頭でしっかり考えたい。今だからこそ、そう思うのです。
ポイントは本当にお得なのか
キャッシュレスになったからといって、さて何か得をすることがあるのだろうか?
「いや、ポイントが貯まります」と、人は言うけれど、それ、果たして本当に得なのか。
たとえば、出前サービス。あれも、考えてみれば、お金がかかるわけです。盛んにテレビでコマーシャルをしている、ということは要するに莫大な費用をかけて宣伝してるわけですね。それでも立ち行けるということは、それなりのお金を取って儲けているからにほかなりません。
街の中華屋さんなら、二本の足で歩いて行って食べればいい。Uber Eatsなぞを頼む必要があろうか、と。
蕎麦店とか中華料理店なんかでも、昔はみな出前をやっていたけれど、別にお金は取らなかった。サービスの一環として店の人が自転車などで配達してきたものです。そういう時代よりも、Uber Eatsがお金を取って配達してくることのほうが、ほんとうにいい世の中なのだろうか? と、冷静になって考えてみたらどうかと思うわけです。
ポイントを還元します、というのも要注意です。
「今この会員になると3000ポイントおまけがつきます」といった場合、彼らはその3000ポイントを損したままにしておきますか? そんなわけはないでしょう、商売なのですから。3000ポイントのおまけを出したら、その分の倍も3倍も先方は儲かるようにできているわけです。だから、「ポイントをあげます」というものは、いわば「誘い水」というか、「罠の餌」のようなものだと思って、私は一切いただかない主義です。
旅行する際に私は楽天トラベルを使っています。もちろんこれでも正規の料金よりは安く泊まれることが多いように思います。が、そうしているのは、ひとえにパソコンで簡単に予約が済ませるからです。
ところが、その予約サイトを見ていると「1万6000円の部屋を今なら1万2000円で泊まれる方法があります」なんていう惹句が出てきたりする。「○○会員になると、入会時に4000ポイントが付くので1万2000円で泊まれます」というような仕掛けになっているのですが、その甘い言葉に乗って会員になったら百年目、そのサイトに囲い込まれてしまう道理で、私は、かかる「囲い込みの罠」は一切無視しています。
私が使っている2枚のクレジットカード
とはいえ、私もポイントを貯めていないわけではありません。
クレジットカードはJALカードとANAカードの2枚に絞っています。これ以外はもっておりません。
このカードを使うことで、どんな買い物も自動的にマイレージが貯まっていきます。その結果、無料で飛行機に乗れる。これは非常に大きなメリットです。日頃のスーパーマーケットの買い物でも、このカードを利用していると、けっこうなマイレージが貯まるので、もうこれで十分なんです。
Amazonで物を買うにしても、JALのサイトを経由して入るとやはりマイレージが貯まる。そうして、私の妻などは、もう何回も在アメリカの息子の家と日本とを行き来しているけれど、一度も航空運賃なんか払ったことがありません。いつもJALカードのマイレージのチケットで往復しているからです
すべての買い物がこの2枚でできるので、そういうふうにしてポイントを役立てることができれば、それ以上のことは考えません。さらに二重、三重にポイントを取ろうなんて欲張った考えに囚われていると、あれを買うときは、あのカードのポイント、これをやるときはまた別のカードのポイントとかいうように煩わしいことになっていって、もういちいち考えるのも面倒なことになっていきます。だから、私は最低限のマイレージだけを貯めることにして、そのほかのポイントものは一切無視しています。
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