『銀鈎賭坊』
『好心救美』
夜、秋の夜。
晩秋。
暗く静まり返った長い坑道には、人一人居なくただ一つの明かりだけが有った。
残りの白い提灯は、ほとんどがとっくに灰色に変わってしまっている、傾いた坑道の狭い突き当りの門の上には、提灯の明かりに光っている銀の引っ掛け鉤がある、それは正に漁師の親父が使う釣り針の様だ。
銀鈎は秋風の中で停まることなくゆらゆらと揺れている。秋風はまるでため息をついているようだ、ため息は、何故に世の中の人々の多くはこの銀鉤に吊り上げられたいと思うことが有ろうか?
方玉飛は暗く、湿った冷たい霧の中から、まばゆく明るい銀鉤賭坊の中へ入った。濃い色のマントを脱ぐと、その下から、彼の体ぴったりとしつらえられた極めて手の込んだ銀緞子の衣装が現れた。
毎日この時が最も愉快なひと時であるがとりわけ今日は愉快だ。
それは陸小鳳が彼の傍らに居るから、此処の所彼の最も好きで尊敬できる友人が陸小鳳だからである。
陸小鳳もとても愉快だ、なぜなら彼が正に陸小鳳自身だから。
贅沢にしつらえられた大広間の中には、温かさと楽しさと酒の香りの中に上等な紅おしろいの良い香りが混ぜ合わさり満ちており、ひっきりなしに金銭の打ち合わさる警戒で耳に心地よい音が聞こえていた。いかなる音楽と比べても世の中でこれ以上のものは無い。
彼は、この音を聴くのが好きで、世の中の別の多くの人と同じで、彼も贅沢と楽しみは好きだ。
銀鉤賭坊は嘘偽りの無い贅沢な所、いつでもさまざまな贅沢な人の為に、様々な贅沢と楽しみを用意してある。
その中で最も贅沢なものは、当然、賭博だ。
すべての人が賭博をし、すべての人が一心不乱に彼らの賭博に集中する、しかし、陸小鳳と方玉飛が入ってきた時、さすがに皆はついつい頭を上げた。
☆まだまだ、勉強不足なので、意訳ではなくて妄想訳で読んでいる部分も有ります野で、その辺は悪しからず。 訳文に関しての苦情はご遠慮下さい。
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