回転寿司の日記

日常の身辺雑記を紹介

事業のひきぎわ

2010-04-13 11:12:44 | 仕事
吉野家赤字


吉野家牛丼1杯270円 つかぬ間の業界最安値

吉野家が今期大幅な赤字という。このニュースを見て思ったことは、吉野家はすでに
世の中の役割は終えたということだ。外野から見ていると、経営者は必死に収益改善を目指し、メニュー変更、そして今回の価格改定や、経費の見直し(人件費)などで生き残りをかけるだろうが、立て直しは容易ではないと思う。

昨年12月、すきやが牛丼1杯280円の価格になったが、吉野家は380円を維持してきた。
それが、今度期間限定とはいえ、1杯270円である。すきやは、さらに250円にすると言っている。完全に世の中変わってきている。
今から、20年ほど前、渥美先生のペガサスセミナーなどでは、盛んに吉野家の経営を称賛していた。当時は、今のようにデフレではなかったし、煙草2箱分の値段で昼飯のメニューが
開発できれば儲かるといわれた。ましてや、吉野家のメニューは牛丼1品だけなので非常に効率的な経営ができる。

やはり、世の中の変化に対応できないと企業の存続は難しい。
飲食店の業界には、回転すし業界がある。こちらは、かっぱ寿司に代表される100円均一寿司の出現で、既存のそれまでの回転すし店は淘汰されることとなった。

私は、3年ほど前まで回転すしの運営に従事してきた。平成5年~7年の期間は非常に良好な成績で年間経常利益は売上対比で8%近くまでいった。成績良好の最大の要因は競合店が無かったこと。それと1皿120円がメインのメニューであり、客単価が1000円前後とリーズナブルだったことだ。平成10年前後から状況は一変し、上記の100円均一寿司の出現、そして
老舗すし店の回転すし事業への参入が始まった。

歴史にifは禁物だが、上記の世の中の変化に対し、私の所属する事業部がもし1皿120円メニューを存続していたらまだこの事業部は存続していたと思う。但し条件がある。店舗数がせいぜい6店舗以下であること。またロジステックが弱いため県外の出店も控えること。
そして粗利益率がメニュー1皿120円でも品質を落とさず維持できること。

現実は、県外出店最大で3店舗。店舗展開は平成12年度で最大9店舗。
また同年より1皿単価200円近い平均客単価1600円前後のメニュー変更した店舗に順次改装されていった。さらに粗利益率はそれまでと比較して10%低下したメニューとなった。

つまり、これまでと同じ従業員数では大幅に営業利益が低下する。競合店と差別化する店舗コンセプトは高級ネタとおもてなしの出来る接客であった。
私に与えられた課題は、メニュー以外の老舗すし店に負けない人員の育成と採用、及び人件費を中心とした経費のコントロールと効率化であるが、この課題は私の能力を超えていた。
また、当然リストラもあり、その計画と実施も私は携わった。

企業は、まじめにやっていれば上り坂は必ず到来する。しかし、満つれば欠けるは世の習い。時代に適応できなくなった企業はひきぎわが肝心だと思う。

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