建築・環境計画研究室
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建築計画は、生まれからして新築の建物のための学問なんです、と、言われています。
機能にはそれにふさわしいかたちがあり、機能をかたち化するために整理すること(ゾーニング、ブロックプランなどと)、
機能を効率よく実現しつつ利用者の快適性と両立させること、それを建築のプログラムとして定義すること,を命題として
組み立てられてきた学問だから。決まったルールのもとでレベルを合わせて平等を図る,制度を空間化することと足並みを
揃えてきたから。といった説明がなされます。
(これはある意味で原理的な設定なので,そういうものじゃないでしょ,というクラスタもいます。私も建築計画の大元は
理解しつつ,原理派として建築計画を理解するにはひと世代遅かった)
建築計画をそういった(大元として)理解するクラスタに対して,「建築計画ってなんなんだ…? 要らないってこと?」
という疑問を突きつける建物が時々あります,例えば人口動態など建築が担う機能/ニーズの変化が著しい地域に。
また,産業構造が変わって,必要な数量や密度(単位面積当たりの必要数)が刻々と変わっていく水際に。
どんな建物かというと,転用の建物です。それも機能によって導かれる形態とは異なる用途に転用された建物です。
そういった建物は,普通のような顔をしてそこにあるので,パッと見ても特に何も思わないかもしれません。
ああ転用なのかな,くらいの感想かもしれません。が,多分こんな記事を読んだ後だと,探してみたくなると思います。
面白いところだと,元銀行のデイサービス。元回転寿司のグループホーム。元コンビニの保育所,元酒蔵の小規模多機能。
それから,
元ガソリンスタンドの唐揚げ屋さん(テイクアウト専門)。
電動自動車の増加や人口減で,地方だとガソリンスタンドって減っていってるんですよね。
それについては撤退による地域の持続可能性への影響についての研究もあって深刻な問題なんですが,
後に入る機能があるということはまだそれほど人口減の影響が直撃していない地域ということなのでしょう。
ガソリンスタンドは都心部でも撤退の事例があって,
こちらは名古屋の市街地にある元ガソリンスタンドのマッサージ屋さん。
こちらもギャップにちょっと突っ込みたくなる感じですが。
ガソリンスタンドは設備が重装備なので(地下にタンクが埋まっている),簡単に撤去もできないため
解体・大規模改修の手前にちょっとした改修での,なんと表現したらいいか,ヤドカリ的住み着きのような
転用が生じるのでしょうか。
いつでも探しているよ,どっかにギャップ萌え転用事例を。交差点でも,街の中でも,こんなとこに意外とあるんです。
明け方の街,桜木町にも多分。ぜひ探してみてください。建築計画の変化の最前線が,そこここに見えるはずです。