コミュニティ・カフェにおける「開かれ」に関する考察
主(あるじ)の発言の分析をして
日本建築学会計画系論文集 第614号,113-120,
2007年4月
田中康裕 鈴木毅 松原茂樹 奥俊信 木田道宏
1調査の背景と目的
近年、高齢者のケアや子供の居場所づくり、商店街の活性化などがきっかけとなり、「コミュニティカフェ」(以下CCafeと表記)と呼ばれる場所が各地に開設されている。CCafeでは誰もが訪れる事ができる場所、気軽に立ち寄れる場所を実現し、他者との社会的接触の機会を提供する目的がある。CCafeがあらかじめ親しい関係にある人同士で過ごすだけの場所ではなく、その「外部」の人に対しても「開かれ」ているのは、CCafeがどのような特徴をもつからなのか。CCafeの「開かれ」を考察し、明らかにする。
2調査概要
CCafeの運営には中心的な役割を担っている人物がいる。このような人物を主(あるじ)とする。主には自身が運営するCCafeについてなるべく自由に語ってもらうため、オープンエンドなインタビューを中心とする調査を行った。インタビュー実施期間は2005年1月から2006年10月である。
3調査結果
CCafeには運営に継続的に携わっている主が存在し、その主がCCafe内外で築いている関係とそのつながりが、その場所の「開かれ」の要因になっていることが明らかになった。しかしこれは主との関係を拒絶する人にとってはそのCCafeは十分に「開かれ」ていないことになる。つまり1つのCCafeが実質的にあらゆる人々に対して「開かれ」ることはないと言える。今回は主に対するインタビューを研究方法の中心としたので、ボランティアや来訪者など主以外の観点からCCafeを考察することが今後の課題となる。
4まとめ
CCafeでは主がおり、その主を中心に関係が広がっている。すでに築かれている関係に新たに外部の人間が馴染むことは時間がかかり難しいのではないかと考えた。また人間関係には相手との相性があり、それが合わないと関係が良くなるのは困難である。主との相性が合わないことでCCafeを利用しない人がいるのではないかと考えられる。利用者が通いたいCCafeを選択できるように、CCafeを展開していくべきである。
(齋藤)
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