朝6時前に病院到着。
産めるかなって不安を持つ自分と、さぁ産んだろかって意気込む自分の両方が共存していた。
でも、早く赤ちゃんをみたいっていう母親の本能(?)にもかられた。
静かな病院の中で、不思議な気持ちで出産に臨もうとしていた。
先生が到着、例の心音が気になる。
先生も開口一番、「陣痛は今日来て欲しくなかったのにな~」
ですよね、期外収縮が心配ですよね。でも、陣痛来てしまったーーー。産むっきゃないよ、先生!
夫も同伴の下、赤ちゃんの心音や心臓の画像をチェック。
今日も期外収縮は確認されてしまった・・・。
これではお産中の赤ちゃんの心音が取りづらい。自然で産むか、帝王切開か・・・。
赤ちゃんの安全を考えたら、もちろん、帝王切開だそうな。素人の私でもウスウス想像できてたけど・・・
やっぱり、帝王切開かー。
かくして帝王切開でのお産が始まった。
まずいくつかの点滴をうたれた。栄養的なものだった気がする。(説明受けていましたが、もう一年も前のこと。忘れてる)
でも、お腹がすごーく空いているデブ妊婦は、家に置いてきたいちご大福が気になってしょうがない。
食べていいなら夫に持って来てもらおうと思っていた。
愛しいいちご大福
んで、先生に、朝食まだだから食べてもいいか聞いてみたら、
帝王切開前に食事のこと気にする妊婦初めて見たよ!!とダメだし。
普通、計画的に帝王切開する人らは、前日21時以降は飲食一切禁止だったりするらしい。
手術中、気分が悪くなった時に、吐いたモンが喉などに詰まるのを防ぐとか・・・。
それも知らず、デブ丸出しの質問をした自分を責めた。(赤面)
先生が、お腹空いたを連発する私をかわいそうに思ったのか、糖が入った点滴(みたいなイメージ?)に替えてくれた。
これもこれで恥ずかしいが。
そして手術室へ。
トイレに行きたいと言っても、もうダメと言われ、幅の細い手術台に、ジュゴンのような裸体を寝かせた。なんと寝心地の悪いベッド。
尿管に何か管が入ると、尿意はピタッと止まった。医療ってすごいのねーって無知な私は一つ一つに関心していた。
夜勤明けの看護婦さん、早朝から駆り出された看護婦さん、二人のドクターなどなどスタッフが、
ジュゴン(妊婦時代の私)の出産の為に集まってくれた。
陣痛は少しづつ、強くなってきたのが分かった。
病院に着いた頃は子宮口3-4cm開いていたから、5cmくらいは開いてるかなーなんて想像していた。んま、下から産むことはできないけど。
麻酔の注入が始まる。
麻酔は陣痛と陣痛の間に注入する。
麻酔の前に打つ麻酔みたいなものもあって、腰のあたりに2-3回は色々刺されたことを記憶している。
ジュゴンのような裸体をくの字に曲げ、腰を先生の刺す麻酔のぶっとそうな針に向かって突き出した。
先生がもっと体を丸めてと言ってきた。”赤ちゃん潰れるぞーーー”って思いながら、丸い体を必死に丸くした。
すると、先生が何かを手古摺っているように感じた。
先生、早く打ってくれよーー。陣痛また来てるよーー。って思っていたら、先生が一言。
「脂肪が多いからな・・・。入りづらい・・・。」
あははーーー(冷汗)手術前のシーンとしている空間で、たくさんのスタッフがいる前で、今言うコトないっしょ!!
でも先生に突っ込む力も出ないほど、陣痛に耐えていた。
そーこーしているうちに、右足一体に何か液体が流れ込み、感覚がじわ~と麻痺していくのが分かった。
これを麻酔って言うんだ~。
手術台に横になり、麻酔の効き具合をチェック開始。
麻酔が効いてる部分とそうでない部分を、ピンセットで皮膚をつまんでチェックする。
痛いですか~。ここは痛いですか~ってピンセットでジュゴン(妊婦時代の私)の皮膚をつまむ先生。
全部痛いです!麻酔きいてる感じがしません!!
おかしいな~と首を傾げながらもう一度麻酔を注入される先生。
またピンセットで皮膚をつままれると、まだ痛い。
このままでメスでも入れられたら大変と思い、先生に訴えた。先生、まだ痛いです!!さっきと変わっていないです!!
すると、3本目うったら今度はあなたの命が危ないです。始めます。と、手術を強行突破された。
緑色のシーツを被され、手足も縛られ・・・。
これ、麻酔効いてない中、メス入れて激痛走ったら、絶対に叫んでやるっ!!って思っていたジュゴン。
すると、ん???麻酔効いてる???痛くない。良かったーーと安心したのも束の間、
皮膚をひっぱられ、お腹をグリグリいじられているのが分かる。
手術台の上のライトに、自分のお腹が映り込んできそうで、目をそらした。
先生は一度目の帝王切開は癒着などもないから5-10分ほどでは終わるっていってたしな。
早く早くーーって我慢していた。
すると、なぜか涙がすーっと出てきた。
自然分娩の途方もなく長い陣痛を耐えているわけでもないのに、何を泣いてるんだ、私。
恥ずかしいわーー。早く涙止めないと!って言い聞かせていた。
すると、私の涙に気づいたある看護婦さんが涙を拭いて下さり、手を握ってきた。
あーー、この時は看護婦さんがまさに天使に見えた。
力が一気に抜けて、涙がガーーーと止まらなくなった。人間、我慢してる時にふと優しくされると、弱いですな。
しばらくすると、お腹の方から”ウウッ”って聞こえた気がした。赤ちゃんか?って思っていたら、
オギャーーーって聞こえてきた。そして”おめでとうございます。元気な男の子です”って周りが言う。
テレビドラマで見たまんま。あのベタな鳴き声とベタな祝福の言葉!!
やっと終わる。と思っていたら、急に気持ち悪くなった。船酔いに襲われた感じで、目も開けられないのだ。
フツー、赤ちゃん生まれたら、感動のご対面とかあるはずなのに、
私の場合は看護婦さんが”赤ちゃんですよー”って連れてきても、何か生温かいモンが顔の傍にあるのは分かるけど、
目が開けられないし、吐き気がすごいから、それどころじゃない。
「気分悪いので、あとで見ます~」って我が子との初対面を断った。
あーー、麻酔2本もいらんかったかもな・・・。
そんなこんなでやっと終わった、私の帝王切開。
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