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先祖を探して

Vol.162 奄美群島の砂糖地獄(2)


前回から続く奄美群島の砂糖地獄の話ですが、タイトルを書きながらふと疑問が沸いてきました。あれ?「奄美諸島?or 奄美群島?」
昔、学校では「奄美諸島」と習っていたような?
調べてみると、こうした島名や地名は政府の「地名等の統一に関する連絡協議会」という会議で審議され、そこで一致したものが「決定地名」として採用されているそうです。
その会議には、「旧陸軍」陸地測量部が母体の国土地理院と、「旧海軍」水路部が前身の海上保安庁海洋情報部が参加しているよです。地図、海図、水路図、航空図に記載する地名などについて秘密裏に(!?)統一を図っているとのこと。
奄美に関しては、2010(平成22)年に奄美『群島』に決定したようですので、「奄美群島」と呼ぶのが正解のようです。
海上保安庁作成の海図はもとから「奄美群島」と表記されていたそうですから、今回は「海軍」の勝ち!といったところでしょうか。


砂糖栽培における島役人

奄美の島々での砂糖の栽培が始まると、現地での管理を徹底するために島役人が置かれました。その役職と役割は以下のようです。

黍横目・・・サトウキビの植え付け、施肥、植栽地の割り当て、植え付けなど、砂糖増殖のための管理をする仕事。

津口横目・・・船舶の出入りを検査し、砂糖の密売や他藩船や外国船の入泊するときに、自由に上陸しないように取り締まる仕事。

竹木横目・・・砂糖樽製造用の榑木、その他竹木繁殖をつかさどる仕事。

これらの島役人が藩の命令のもとで、島に派遣されていた代官と共に砂糖の増殖の為にサトウキビ栽培の島民を厳しく管理していたようです。

収穫の際の切株が高ければ首に罪人札をかけて村中を引き回され、指についた砂糖をなめては鞭で打たれといった具合に、厳しい取り締まりでした。また砂糖は一斤でも売却すれば死刑に処せられ、これに不和同意する者はことごとく島流しを申し渡されたそうです。
汗と血で作り上げた砂糖の一かけらも、先祖の霊前にすら供えることができなかったそうです。作った砂糖は全部藩の倉庫に保管され、もし一塊でも隠し持っていたなら、これまた死刑という本当に厳しい処遇だったのです。
人間性を無視した、あまりにも厳しすぎる制度です。

栽培できる畑や水田も全てサトウキビ畑となり、島民は自分たちの食料すら自給できない。島民が支給米が不足した時に、それをサトウキビで補うのを見て、米穀が無くても生活に事欠かないと独断し、支給米を横領する者もいたそうです。そして、自己の功績を誇るために、耕地の拡張、上納糖の増額を強要したりで、島民の受け取る支給米は減少していき、反対に上納糖の量はますます増加していき、島民はこの悪代官や藩によって二重の苦しみを与えられていたのです。
しかし、このような状況が長く続くわけはなく、従順な島民も疲弊して農地は荒廃し、藩庁の収入も減少することとなり、回復を図らなければならない状態になっていきました。

砂糖は島々から安価に買い上げて、大阪で高く売っていたようです。島民から買い上げるといっても、今のように現金で買い上げていたわけではなく、納められた砂糖の量に応じて、食料や日用品と交換していたわけです。
その食料や日用品は大阪で安く仕入れ、島民にはそれを高値で砂糖と交換。こうして藩は収益を上げて潤っていったのでした。


沖永良部島と砂糖(1)

この制度が沖永良部島に施行されたのは、1853(嘉永6)年のことであったようです。
他の島々からかなり遅れての施行となった砂糖の制度ですが、なぜ100年以上も遅れての施行となったのか?
調べていくと大きくは2つの理由があったようです。

1つは、沖永良部島の土壌が、サトウキビ栽培には適していなかったという話があります。
当時の沖永良部島の石高は、人口が1万人ほどでほぼ同じであった喜界島の一万八百三十六石に対して、六千四百十石と約半分なのです。喜界島が過重負担なのか?沖永良部の過小評価なのか?
当時の沖永良部島は、土壌の問題もあって生産力が低かったのかもしれません。
そのような状況下であったのなら、藩としては最も重要なことは島の生産力を上げ、貢米をまず確保させることであったのかもしれません。実際に、島では他の島では見られないほどの多数の溜池が作られていったようです。

2つ目の理由については次回に書きたいと思います。


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