居眠りバクの音楽回想

チェンバリスト井上裕子の音楽エッセイブログ。

螺旋模様とBachの調律

2010-11-01 15:24:08 | その他
Bachが用いた調律法は一体何か。
それを知る手がかりは、現在殆ど残されていません。
フォルケルによる伝記、息子らによって書かれたネクロローグで少し触れられてはいますが、具体的なものではなく、それは謎のままです。




この写真は、バッハの「巧みに調律された(平均律)鍵盤楽器のための前奏曲とフーガ」第1集の自筆譜表紙。

1999年、アンドレアス・スパーシューという数学者によって、面白い説が発表されました。

それは、この表紙にある螺旋模様が、バッハの調律法を示しているというもの。

一筆書きで書かれた一見何の変哲も無い、この螺旋模様をよく見ると、その中に異なる渦巻きが書き加えられていることが分かります。

螺旋は全部で11あり、それが、1オクターブの12の半音の間の数と同じであること。螺旋に含まれる渦巻きの有無、その数の違い(一個か二個か)が、模様を単なる装飾ではなく、何らかの意味のあるものと考えられた理由なのだそうで・・・これを面白がった、関係者が、ありとあらゆる方法で検証して、解釈を試みたようですが、これがバッハの用いた調律法である!という証明には至っていない模様です。

多くの論文は難解すぎて、私には理解できませんが、興味のある方はこちらのサイト等(他にも沢山存在するようです)ご覧下さい。

ともあれ・・・「バッハは調律において、全ての調性が美しく、そして快く響くよう純正に、正しく調整する方法を知っていました。彼にとって、人が不純な調律だと言って避けるような調性は存在しなかったのです。」

ちなみに、私は単純にヴェルクマイスターを選択すると思います。