毎年、空き家の裏庭の果樹について日記を書くのが定番になっています。
初夏の収穫はユスラウメ、冬から初春はキンカン…と思っていたのですが。その認識が改まりそうです。
我が家のキンカンは例年、2月か3月になるとやっと実がつきます。
そのあいだに鳥に奪われてしまうので、防虫ネットを何重にもかけて。3月に収穫したら酸っぱめだったのが、ある年、5月の連休近くまで放置しておくとかなり実が大きくなって甘かったので、今年もそのつもりでした。
ところが、11月ぐらいから、赤くなった実がいくつか下に落ちていました。
忙しかったので網もかけずにそのまま。そして、昨日12月上旬の土曜日、なんとなくちぎって口に入れてみたら。これがまあ、今までが嘘のように、甘い! しかも、こんな早くに?! 慌てて、赤めのものを収穫してしまいました。
今年は渡り鳥が来なかったのでしょうか?
鳥にはほとんど奪われてもおらず。裏庭や裏畑の草刈りをしていたので、人の気配を感じ取って近づかなかなったのかもしれませんね。
前庭に新しく夏みかんの植樹をした今年は、果樹栽培のビギナー向け本を買っていました。
それによれば、キンカンの本来の収穫期は12月半ばから2月あたり。ほんらいは冬成りの実なのです。春と秋に剪定すればよいこと、花は年に二、三回も咲くこと。蝶の幼虫が天敵であること。などなど。キンカンには種類がありますが、我が家のものはやや小ぶりで育てやすい寧波金柑。
ジャムやマーマレードなどへの加工はせずに、皮ごといただいています。
ふつうのミカンみたいに剥かなくていいから便利。しかも小さいので保管しやすいし、傷みにくい。野菜や果物の皮は畑に埋めていますが、それでも生ごみは少ない方がいいわけで。
そういえば、今年の夏はアゲハチョウをあまり見かけませんでした。
前庭の椿の木の葉が食い荒らされてしまうので、マリーゴールドを植えたのです。緑肥生物といって、ある植物どうしを組み合わせると土の質がよくなったり、害虫がシャットアウトできたりするらしい。これも本で得た知識でした。そのせいか、この秋から冬は、椿の花も金木犀も銀木犀も満開。そのため、剪定の職人さんを呼ぶのを遅らせてしまったほどでした。呼べなかったのは、私の休暇の都合やら、先方の予約状況もあったのですが、あんがい、スケジュールがあわずに、今年中に剪定できなかったのが、かえってよかったのでしょう。
もしくは、3月に植えたミカンの木が引き金になっていたとか。
受粉樹が必要ではなく、一本のみでも実が成るのがキンカンですが。柑橘類なので、影響しあっているのかも。どちらにせよ、こうした自然環境の変化は細かく観察していると、いろいろ教わることがあって興味深いですね。私はあまり理科というか、生物学が好きではないほうだったのですが。
私が忙しくて空き家に通えなかったあいだに、同居人が秋口、代わりに枝を整えていてくれたようです。
草もそうですが、間引きをして陽あたりをよくすれば、かえって実づきがよくなる。太陽がよくあたったので、例年よりも早めに甘く育ったのでしょう。これは大きな発見でした。
欲張って一度に五個も食べてしまったら。
知覚過敏で奥歯が痛んでいたのがぶり返してしまいました。師走スケジュールで仕事の締切がかなり立て込んでいるので、歯医者に通うのは避けたい。家族の手術も近くて、慌ただしいので、精神的負荷もあります。
ところで、お墓詣り中に、猿が数匹、かなり接近してきて驚きでした。
近くにある民家や畑なども荒らされているのでは…と心配にもなります。すこしまえに、イノシシが街中に出没して負傷者が出たというニュースもありました。山が崩されて、砂礫を採取されたり、太陽光発電の敷地にされたりと開発が進んでいます。食べものがなくて、ひとを恐れなくなっているのでしょうね。そうかといっても、餌をやったりしたら怖いので、何もできないまま。人口が減っているのにインフラ開発などで自然が削られていく田舎では、こうした現象はますます増えるのでしょう。
キンカンの木は、欲張って獲らずに、網もかけないでおくことにしました。
食べきれない程あるのならば、自然に還るもよし、ほかの生命をつなぐのに流れるのもよし。人間は食材をスーパーで買えます。これもまた世の中の摂理なのかもしれませんね。目下の悩みは、生活回り品のお値段がなかなか懐には厳しいことでありますが。
(2022/12/11)