よしがふみ対談集『あのひととここだけのおしゃべり』
よしながふみさんが羽海野チカさんや萩尾望都さん等7人とマンガ(特にBL)について語り合う
とてもディープな内容の対談集
名言(迷言?)・珍説満載で、うんうん頷いたり思わずニヤリとしたり
思わず腐海の深みに引きずりこまれそうになる面白さです!
もう腐海にどっぷりつかっている方々にはより一層楽しめる事でしょう!
てことで、一人で受けてるのはとっても勿体無い!!
少しだけ抜粋しておすそ分けします~
第1章 やまだないと×福田里香「私たちの大好きな少女マンガ」
やまだ:少女マンガってさ、ちょっとタブーっぽいこともありにするための工夫をいろいろ考えるよね。
よしなが:そうですね。男同士もタブーの一つだし・・・
やまだ:男同士がタブーっていうよりも、~中略~、レイプされてみたいっていう願望がタブーだから、
男の子とかの姿に変えて描くんじゃないかな。
福田:レイプ願望とは違うと思うな。~中略~ ていうか、レイプしたくなるぐらい・・・・
福田・よしなが:私を好きになってほしい!
福田:(笑)ってことなのよ。
~中略~
福田:その人限定でレイプされるほど愛されたいってことなのよ。
レイプは最上級の乙女表現にすぎない。
よしなが:一般のレイプ願望ではないんだよ。その人にどれだけ求めてもらえるか、っていう話なんですよ。
福田:だから、それ読んで女の子が全員レイプしてほしいと思うのは大間違いで、そんなことは望んでない。
だいたい男の人って勘違いするんだよね、それ読んで。
第2章 三浦しをんその1「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」
三浦:私は一時期インテリみたいな男の人が、24年組を語るのがホントに腹立たしかったんですよ。
しかも、彼等はちゃんと読めてないんですよ!
~中略~
よしなが:『綿の国星』の猫耳のチビ猫ちゃんを見て、「あれが少女の化身」って言い方をするんだけど、
違う、私たちが同化しているのはむしろ時夫で彼に共感してチビ猫を眺めているのであって、
誰もチビ猫に共感していつまでも少女でいたい願望をこのにゃんこに託したりなんかしてません私たち!みたいな。
三浦:そうなんですよ!何一つわかっちゃいない!
よしなが:でてくるのが少女だから、少女は少女に共感するだろうって言うのがまず間違っているんですよ。
大島さんのマンガって少女にどっぷりはまっているんじゃなくて、むしろはるか高みから描いていて・・・・。
~中略~
三浦:永遠の少女性みたいなものに非常に冷たいですよね。
よしなが:『バナナブレッドのプディング』で衣良ちゃんが結局あのままでは生きていけなくて最後に大人になる決心で終わるように、
必ず大島さんのマンガって少女が大人になる瞬間を描いていて、
いつまでも永遠の少女でいることなんて全然描いてないんですよね。
~中略~
私はむしろ永遠の少女を描いているといったら、吉野朔実さんの方だと思います。
よしなが:親は私に学校の先生になれって言ってたんですが、
理由を聞くと、「好きな人と結婚したいってことは、相手の経済状況とか考えないで結婚したいっていうことだよね。」
「女の人が働いてないと、なかなかそれは出来ないんだよ。」
「男の人に養ってもらおうと思ったら、男の人の経済状況や家のことを全部条件に入れないといけない、要するにまったく自由に好きな人とは結婚できない」
あるいは「好きな人がいないから結婚しません」って選択肢はとれないんだよって。
社会って言うのはホントに不公平で不条理で女の人が生きていくってことはとっても大変なんだって、親に恐怖心を刷り込まれたんですよ。
成績が良くて一番とれば女の子だって一番、そんな男女平等の世界は学校だけだって。
~中略~
不条理なことがあったら訴えるべきことは訴えればいいのですが、
社会が急に変わるわけじゃないし、
結局は自分が工夫してやっていくしかないんです。
第3章 こだか和麻「ボーイズラブじゃないと描けないこと」
こだか:私は、BLは“切なさ”が描ければいいと思うんですよ。
読んでる人を切なくさせればいいかなって。
こだか:BLは女の子が読者なので合体場面が必ずある。
主人公たちが一体になることに意味があるんですね。
~中略~
要はエッチシーンてサービスカットなんですよね。
読んでる人は、主人公たちがラブラブに至るまでの紆余曲折のシチュエーションを楽しむわけで、
つらいこともあったけど、ようやく二人でいっしょになれたねって、それがうれしい。
エッチシーンはご褒美みたいなもの?(笑)
こだか:以前に河惣益巳先生とお話させていただく機会があったんですが、
『ツーリングEXP』でなかなかシャルルとディーンがくっつかなかったのは、少女マンガだし、子どもが読むかもしれないものなので、
男といえども胸から下を描くのはよろしくないという、壁があったそうなんですよ。
それがBLを浸透してきたことによって、男同士のエッチシーンも珍しくなくなり、描ける時代になった。
~中略~
河惣先生に「ありがとう」って言われたんですよ。
BL作家ががんばって作品を描き続けてくれたおかげで、自分はようやく好きな者同士がくっつく話を描くことができるって。
こだか:BLはキャラの見てくれも大事だけど、キャラが一途かどうかも大事だよね。
よしなが:“一棒一穴主義”だよね(笑)。
こだか:そうそう。それはね、<攻>キャラはある意味、読者の理想だからなんだと思う。
この人と定めたらブレない、そういう一穴主義に徹するキャラにしないと、読者からのウケも悪い。
よしなが:それまでさんざん遊んできたような人たちが簡単に<受>にメロメロになるでしょ。
そのうち絶対浮気するから、って思うんだけど、しない(笑)。
こだか:そこに乙女の夢が入ってくるんですよ。
第4章 三浦しをんその2「やおいは男同士でなくてもいい」
三浦:BL作品を読まずに、「男二人の関係が書いてあればBLなんだろう」とイメージしている人が多い
~中略~
よしなが:私の『大奥』という作品だって、BLだって言うひとはいるんですもん。
三浦:えーっ!?それはどういう理解なんですかね。
よしなが:よく知らない人にとっては、男同士の同性愛行為が1回でもあったらBLなんでしょう。
~中略~
私にとっては、『西洋骨董洋菓子店』はBLではない、ただゲイの人も出てくる少女マンガなんですが、
読者さんからのおたよりで「BLなのに恋愛が中心じゃなくてとっても面白かったです」とか感想をいただきますから。
よしなが:私や友人たちの言うやおいっていうのは、セックスをしてない、つまり恋愛関係にない人たちを見て
その人たちの間に友情以上の特別なものを感じた瞬間に、これはやおいだと名づけるわけ。
二人の関係が性愛に踏み込んでいたら、それをやおいとは言わないんです。
そういう人たちの間柄を妄想して、創作物の中でセックスさせていることもやおいというから、
世の中の人たちはやおいというものをごっちゃにしていると思うんだけど。
~中略~
三浦:性別ではなく、人間関係の在り方がポイントってことですよね。
~中略~ テーマは「孤独と連帯」なんですよ。
よしなが:まさに(笑)。それこそやおいの本質ですよ。
三浦:よくオタクの人は、キャラクターに擬似恋愛をしているから現実の恋愛に意識が向かないんだと言われますが、
私はそれってちょっとちがうとおもうんですよね。
だって、擬似恋愛してます?
よしなが:萌えの気持ちのドーパミンが恋愛しているときと似てないかと言われれば、似てると思う。
(でも、)妄想するドーパミンのほうが、恋をしているよりもはるかに多くでてるはずなの。
だから、中毒になっちゃう。
妄想のほうが快楽としての純度が高いんですよ。
字数制限に引っかかったので、②へと続きます。
よしながふみさんが羽海野チカさんや萩尾望都さん等7人とマンガ(特にBL)について語り合う
とてもディープな内容の対談集
名言(迷言?)・珍説満載で、うんうん頷いたり思わずニヤリとしたり
思わず腐海の深みに引きずりこまれそうになる面白さです!
もう腐海にどっぷりつかっている方々にはより一層楽しめる事でしょう!
てことで、一人で受けてるのはとっても勿体無い!!
少しだけ抜粋しておすそ分けします~
第1章 やまだないと×福田里香「私たちの大好きな少女マンガ」
やまだ:少女マンガってさ、ちょっとタブーっぽいこともありにするための工夫をいろいろ考えるよね。
よしなが:そうですね。男同士もタブーの一つだし・・・
やまだ:男同士がタブーっていうよりも、~中略~、レイプされてみたいっていう願望がタブーだから、
男の子とかの姿に変えて描くんじゃないかな。
福田:レイプ願望とは違うと思うな。~中略~ ていうか、レイプしたくなるぐらい・・・・
福田・よしなが:私を好きになってほしい!
福田:(笑)ってことなのよ。
~中略~
福田:その人限定でレイプされるほど愛されたいってことなのよ。
レイプは最上級の乙女表現にすぎない。
よしなが:一般のレイプ願望ではないんだよ。その人にどれだけ求めてもらえるか、っていう話なんですよ。
福田:だから、それ読んで女の子が全員レイプしてほしいと思うのは大間違いで、そんなことは望んでない。
だいたい男の人って勘違いするんだよね、それ読んで。
第2章 三浦しをんその1「フェミニズムはやっぱり関係なくないのよ」
三浦:私は一時期インテリみたいな男の人が、24年組を語るのがホントに腹立たしかったんですよ。
しかも、彼等はちゃんと読めてないんですよ!
~中略~
よしなが:『綿の国星』の猫耳のチビ猫ちゃんを見て、「あれが少女の化身」って言い方をするんだけど、
違う、私たちが同化しているのはむしろ時夫で彼に共感してチビ猫を眺めているのであって、
誰もチビ猫に共感していつまでも少女でいたい願望をこのにゃんこに託したりなんかしてません私たち!みたいな。
三浦:そうなんですよ!何一つわかっちゃいない!
よしなが:でてくるのが少女だから、少女は少女に共感するだろうって言うのがまず間違っているんですよ。
大島さんのマンガって少女にどっぷりはまっているんじゃなくて、むしろはるか高みから描いていて・・・・。
~中略~
三浦:永遠の少女性みたいなものに非常に冷たいですよね。
よしなが:『バナナブレッドのプディング』で衣良ちゃんが結局あのままでは生きていけなくて最後に大人になる決心で終わるように、
必ず大島さんのマンガって少女が大人になる瞬間を描いていて、
いつまでも永遠の少女でいることなんて全然描いてないんですよね。
~中略~
私はむしろ永遠の少女を描いているといったら、吉野朔実さんの方だと思います。
よしなが:親は私に学校の先生になれって言ってたんですが、
理由を聞くと、「好きな人と結婚したいってことは、相手の経済状況とか考えないで結婚したいっていうことだよね。」
「女の人が働いてないと、なかなかそれは出来ないんだよ。」
「男の人に養ってもらおうと思ったら、男の人の経済状況や家のことを全部条件に入れないといけない、要するにまったく自由に好きな人とは結婚できない」
あるいは「好きな人がいないから結婚しません」って選択肢はとれないんだよって。
社会って言うのはホントに不公平で不条理で女の人が生きていくってことはとっても大変なんだって、親に恐怖心を刷り込まれたんですよ。
成績が良くて一番とれば女の子だって一番、そんな男女平等の世界は学校だけだって。
~中略~
不条理なことがあったら訴えるべきことは訴えればいいのですが、
社会が急に変わるわけじゃないし、
結局は自分が工夫してやっていくしかないんです。
第3章 こだか和麻「ボーイズラブじゃないと描けないこと」
こだか:私は、BLは“切なさ”が描ければいいと思うんですよ。
読んでる人を切なくさせればいいかなって。
こだか:BLは女の子が読者なので合体場面が必ずある。
主人公たちが一体になることに意味があるんですね。
~中略~
要はエッチシーンてサービスカットなんですよね。
読んでる人は、主人公たちがラブラブに至るまでの紆余曲折のシチュエーションを楽しむわけで、
つらいこともあったけど、ようやく二人でいっしょになれたねって、それがうれしい。
エッチシーンはご褒美みたいなもの?(笑)
こだか:以前に河惣益巳先生とお話させていただく機会があったんですが、
『ツーリングEXP』でなかなかシャルルとディーンがくっつかなかったのは、少女マンガだし、子どもが読むかもしれないものなので、
男といえども胸から下を描くのはよろしくないという、壁があったそうなんですよ。
それがBLを浸透してきたことによって、男同士のエッチシーンも珍しくなくなり、描ける時代になった。
~中略~
河惣先生に「ありがとう」って言われたんですよ。
BL作家ががんばって作品を描き続けてくれたおかげで、自分はようやく好きな者同士がくっつく話を描くことができるって。
こだか:BLはキャラの見てくれも大事だけど、キャラが一途かどうかも大事だよね。
よしなが:“一棒一穴主義”だよね(笑)。
こだか:そうそう。それはね、<攻>キャラはある意味、読者の理想だからなんだと思う。
この人と定めたらブレない、そういう一穴主義に徹するキャラにしないと、読者からのウケも悪い。
よしなが:それまでさんざん遊んできたような人たちが簡単に<受>にメロメロになるでしょ。
そのうち絶対浮気するから、って思うんだけど、しない(笑)。
こだか:そこに乙女の夢が入ってくるんですよ。
第4章 三浦しをんその2「やおいは男同士でなくてもいい」
三浦:BL作品を読まずに、「男二人の関係が書いてあればBLなんだろう」とイメージしている人が多い
~中略~
よしなが:私の『大奥』という作品だって、BLだって言うひとはいるんですもん。
三浦:えーっ!?それはどういう理解なんですかね。
よしなが:よく知らない人にとっては、男同士の同性愛行為が1回でもあったらBLなんでしょう。
~中略~
私にとっては、『西洋骨董洋菓子店』はBLではない、ただゲイの人も出てくる少女マンガなんですが、
読者さんからのおたよりで「BLなのに恋愛が中心じゃなくてとっても面白かったです」とか感想をいただきますから。
よしなが:私や友人たちの言うやおいっていうのは、セックスをしてない、つまり恋愛関係にない人たちを見て
その人たちの間に友情以上の特別なものを感じた瞬間に、これはやおいだと名づけるわけ。
二人の関係が性愛に踏み込んでいたら、それをやおいとは言わないんです。
そういう人たちの間柄を妄想して、創作物の中でセックスさせていることもやおいというから、
世の中の人たちはやおいというものをごっちゃにしていると思うんだけど。
~中略~
三浦:性別ではなく、人間関係の在り方がポイントってことですよね。
~中略~ テーマは「孤独と連帯」なんですよ。
よしなが:まさに(笑)。それこそやおいの本質ですよ。
三浦:よくオタクの人は、キャラクターに擬似恋愛をしているから現実の恋愛に意識が向かないんだと言われますが、
私はそれってちょっとちがうとおもうんですよね。
だって、擬似恋愛してます?
よしなが:萌えの気持ちのドーパミンが恋愛しているときと似てないかと言われれば、似てると思う。
(でも、)妄想するドーパミンのほうが、恋をしているよりもはるかに多くでてるはずなの。
だから、中毒になっちゃう。
妄想のほうが快楽としての純度が高いんですよ。
字数制限に引っかかったので、②へと続きます。
私の料理に辛口な旦那が「ママが作ったラーメンの中で一番美味しかった!!」と好評だったのは、ケンジのラーメンでした。本当は作中のケンジ同様、年越しラーメンにするはずだったのですけど・・・。手抜き料理が大好きな私が、先生のおかげで一手間かけて用意する事を覚えました。
本当に先生のおかげです。これからも先生の作品をもらす事無く、手に入れていきます!そして先生も河惣先生をご存知なのですね。私も河惣先生の作品が大好きで、河惣先生の作品も全て網羅しております。当然、よしなが先生の作品もほぼ網羅(「あの人とここだけ」だけが未収入です、不覚!!)しておりますが・・・。確実に近日中に手にいれます!
これからも先生が発表される作品を楽しみにしております。(大奥も大好き!映画も見なきゃ~)
私の料理に辛口な旦那が「ママが作ったラーメンの中で一番美味しかった!!」と好評だったのは、ケンジのラーメンでした。本当は作中のケンジ同様、年越しラーメンにするはずだったのですけど・・・。手抜き料理が大好きな私が、先生のおかげで一手間かけて用意する事を覚えました。
本当に先生のおかげです。これからも先生の作品をもらす事無く、手に入れていきます!そして先生も河惣先生をご存知なのですね。私も河惣先生の作品が大好きで、河惣先生の作品も全て網羅しております。当然、よしなが先生の作品もほぼ網羅(「あの人とここだけ」だけが未収入です、不覚!!)しておりますが・・・。確実に近日中に手にいれます!
これからも先生が発表される作品を楽しみにしております。(大奥も大好き!映画も見なきゃ~)
今年初のお客様です。嬉しい限りです。
3年以上も前の記事を見つけてくださってありがとうございます!
自分でもどんな内容書いたのか忘れてしまっていて、レスのために読み返しましたが
やっぱりよしながさん良い事言ってますよね~!
借りるんじゃなくて、買っておくべき本でした・・・
私は基本BLには興味がないんですが、
よしなが先生のは性に関係なく人間が描かれている所がすばらしい。
さらに、料理が料理に見える筆力!
モノクロ線画(しかもしつこく書き込まずに)であそこまで美味しそうに魅せる・・・旨い!もとい上手いです!
ケンジのラーメン、そんなに評判が良かったんですか?
私も挑戦してみようかな