日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

欲少なき男

2008年10月28日 07時51分34秒 | 日本事情
 僕はあまり欲がない人間だと思う。
 
 特に欲の中でも物欲が人と比べて少ない。子供の頃から物ではなく、事にお金をかけた親の教育方針が影響しているのは確かである。大人になってからは、自分なりのお金に対する価値観を築いていけばいいことは確かだが、小さい頃に何でも買ってもらえた子供と比べれば、全く違った価値観を持った人間ができるのは自然の摂理だと言えよう。
 
 みんなが欲しがっている新製品にしても、僕は「あれを手に入れたら本当に幸せを感じられるのだろうか」と考えてしまう。また、服を買うにしても、この服を買ったらどれくらい幸せになれるかを吟味し始め、その対費用効果をはじき出して買う気を失う。
 
 もちろん、新しい服を買ったらしばらくは幸せな気分になれる。でも、それはその服を着て外に出かけた最初の1,2回目くらいまでで、しばらくすればその小さな幸せはあっと言う間に薄れていく。
 
 しかし、そんな風に考え始めたら、実は人生を生きていくうえでこれだけは絶対必要なんて品物は何もない。服だったら1週間分、食べ物だったら3日分、自分の足としての車が1台、あとは寝る所があって好きなテレビ番組でも見られれば、大抵の人間は幸福なのだから。
 
 このような癖・性分を持つ僕はつまらない人間だと言える。もし、この世の中が僕のような人間ばかりだとしたら、世の中の経済は好転しない。お金をみんな節約して使わなければ、商取引の量は極めて限定されるからだ。世の中がうまく回るためには、21世紀の大量消費社会においては、欲望のなすままに物やサービスを買い続ける必要がある。
 
 でも、物を買わないと、ある物を手に入れないと幸福になれないという人も僕以上に不幸せな人間である。なぜなら、それ(例えば、車とか家とかIPOD)が手に入らなければ、その人は一生不幸なのだから。そういう人は基本的に欲が深い人が多いから、それを手に入れた段階でもっと高くていいものを欲しているはずである。従って、その人が得られる幸福感というのは一瞬で、すぐ不幸になってしまう。
 
 これに対する一番いい対処法は、仏陀が説いている「少欲知足」の実践である。これは欲を少なくして、既に欲を満たしていることを知るという意味だ。つまり、あまり欲張りにならず、現在持っているもの、置かれている状況に感謝するという姿勢を説いている。
 
 人間の行動はすべて欲に起因している。異性にもてたいがために、いい服や高い車を買い、それを実現可能にするために給料のいい仕事に就こうとする。そして、給料のいい仕事に就くには、いい大学に入る必要がある。いい大学に入るためには学校でたくさん勉強する必要がある。すべては欲を根に、一本の線で繋がっている。
 
 人間は良くも悪くも欲深き動物なのである。
 
 僕自身立身出世しようという欲はない。でも、お金にあまり困らないように安定した生活を送りたいという欲はある。だから、現在目の前にある仕事を一生懸命こなし、将来につなげていきたいと考えている。

 家・スポーツカー・贅沢な暮らしが欲しくないわけではない。でも、それを獲得したところで、一体何になるのかなと考えてしまう。そんなものよりも、楽しい仕事、人からの信頼、尊敬とか、そういったお金では買えないものの方に僕は価値を置いてしまう。究極的にはどちらも目指すのだろうけど、世の中には物質的な面ばかりを重視する人が多いので本当に嫌になる。
 
 結果ではない。重要なのは過程だ。結果は確かにいいほうがいい。でも、結果だけで人生の良し悪しを測ることに意味はない。結果を得られるまでの過程を楽しむというのが人生の醍醐味なのだから。

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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2010-12-04 12:34:30
同じような考えです。
私も物欲が限りなく少ないのですが睡眠欲だけは人よりあったりww
何で物欲無いのかなーって思ってたんですが同じような人がいてほっとしました。
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