自閉症の特性(記憶について)の続きです。
再会が苦手だったり、過去の場所に戻れない由紀子!
どうして、そんなことが起きるのか・・・
そのことを気づかせてくれるエピソードがありました。
=====新聞版「ゆきちゃん通信」№15(2001 年12月24日発行)より抜粋===========
O上先生と本当の再会
転勤でお別れをしていた保育園時代の担任のO上先生から
福江に来られるという、うれしい連絡を頂きました。
再会が苦手な由紀子ですが、
この2年の間にひでき先生やネーネーとの再会をクリアしてきた由紀子です。
もしかしたら今度はうまくいくかもしれない‥・そう思いました。
約束の朝、由紀子にO上先生と会う事を告げると
意外とあっさり『うん!』と答えてくれました。
この由紀子の変化にあらためて驚きながら家を出発したのですが
約束の場所に着いて、いざ車を降りようとしたその時です。
由紀子が急に
『O上先生はいないよ!先生はいない!』
と大きな声で叫んだのです。
そしてシートにしがみついて降りたくないと無言の抵抗です!
でも、それは長い時間ではありませんでした。
『先生は待っているよ!だいじょうぶ!がんばれ!』
という私の言葉に何かしら吹っ切ったように車から降りてきました。
そして、不安そうに私の後ろを歩きながら、
ずっと保育園時代のお友達の名前をとつぶやき続けました。
私も忘れてしまっていた名前が次々と出てきます。
きっと由紀子の頭の中で封印されていた
保育園時代の思い出が溢れ出していたのかもしれません。
そして先生の姿が見えたその時、
由紀子は『O上先生』と一言小さな声でつぶやいていました。
でも、もう泣いたり逃げ出したりはしませんでした。
しばらくは視線を合わせることはできませんでしたが、
先生の側で少してれながらうれしそうな由紀子の姿に私は本当にホッとしました。
その由紀子の成長を先生が喜んでくださったのは言うまでもありません。
先生とお別れした後、
『O上先生いたね!よかった!』
と笑顔で言った由紀子の一言が心の成長を感じさせてくれました。
==========ここまで==================
このとき私は、どうして由紀子が予告なしの再会が苦手なのか
解かったような気がしました。
きっと、由紀子頭の中にはたくさんの引き出しがあって、
その中に、たくさんの記憶が圧縮されて入れてあるのだと思います。
懐かしい人に会うと言うことは、その引き出しの中から
その人の思い出を引っ張り出すことになるのですが、
引き出しは一度開けると、圧縮されていた情報の全てが
一気にあふれ出て・・・由紀子の処理能力を超えてしまうのだと思います。
たぶん、五島の実家に行ったときの由紀子の異変も同じだと思います。
懐かしい場所には、思い出がいっぱいです。
その場所に足を踏み入れた途端に、過去の記憶があふれ出てきて
由紀子の処理能力をショートさせてしまったのでしょう・・・。
その状況が、どれほど辛い事なのか・・・・?
私には想像ができません。
このO上先生との再会の時は、予告をしていたので
由紀子も心の準備ができていたのだと思います。
それからは、誰かと再会させるときには予告が絶対条件となりました。
でも最近は、由紀子も成長をして
情報の処理の仕方もずいぶん上手になったようです。
先日も、過去の場所であるはずの、
卒業した学校の運動会に行けましたもんね!!
これからも、成長していけば
もっと過去への扉が開いて、生活が楽になるのではないかと
期待しています。
記憶について(自閉症の特性19)
=END=
再会が苦手だったり、過去の場所に戻れない由紀子!
どうして、そんなことが起きるのか・・・
そのことを気づかせてくれるエピソードがありました。
=====新聞版「ゆきちゃん通信」№15(2001 年12月24日発行)より抜粋===========
O上先生と本当の再会
転勤でお別れをしていた保育園時代の担任のO上先生から
福江に来られるという、うれしい連絡を頂きました。
再会が苦手な由紀子ですが、
この2年の間にひでき先生やネーネーとの再会をクリアしてきた由紀子です。
もしかしたら今度はうまくいくかもしれない‥・そう思いました。
約束の朝、由紀子にO上先生と会う事を告げると
意外とあっさり『うん!』と答えてくれました。
この由紀子の変化にあらためて驚きながら家を出発したのですが
約束の場所に着いて、いざ車を降りようとしたその時です。
由紀子が急に
『O上先生はいないよ!先生はいない!』
と大きな声で叫んだのです。
そしてシートにしがみついて降りたくないと無言の抵抗です!
でも、それは長い時間ではありませんでした。
『先生は待っているよ!だいじょうぶ!がんばれ!』
という私の言葉に何かしら吹っ切ったように車から降りてきました。
そして、不安そうに私の後ろを歩きながら、
ずっと保育園時代のお友達の名前をとつぶやき続けました。
私も忘れてしまっていた名前が次々と出てきます。
きっと由紀子の頭の中で封印されていた
保育園時代の思い出が溢れ出していたのかもしれません。
そして先生の姿が見えたその時、
由紀子は『O上先生』と一言小さな声でつぶやいていました。
でも、もう泣いたり逃げ出したりはしませんでした。
しばらくは視線を合わせることはできませんでしたが、
先生の側で少してれながらうれしそうな由紀子の姿に私は本当にホッとしました。
その由紀子の成長を先生が喜んでくださったのは言うまでもありません。
先生とお別れした後、
『O上先生いたね!よかった!』
と笑顔で言った由紀子の一言が心の成長を感じさせてくれました。
==========ここまで==================
このとき私は、どうして由紀子が予告なしの再会が苦手なのか
解かったような気がしました。
きっと、由紀子頭の中にはたくさんの引き出しがあって、
その中に、たくさんの記憶が圧縮されて入れてあるのだと思います。
懐かしい人に会うと言うことは、その引き出しの中から
その人の思い出を引っ張り出すことになるのですが、
引き出しは一度開けると、圧縮されていた情報の全てが
一気にあふれ出て・・・由紀子の処理能力を超えてしまうのだと思います。
たぶん、五島の実家に行ったときの由紀子の異変も同じだと思います。
懐かしい場所には、思い出がいっぱいです。
その場所に足を踏み入れた途端に、過去の記憶があふれ出てきて
由紀子の処理能力をショートさせてしまったのでしょう・・・。
その状況が、どれほど辛い事なのか・・・・?
私には想像ができません。
このO上先生との再会の時は、予告をしていたので
由紀子も心の準備ができていたのだと思います。
それからは、誰かと再会させるときには予告が絶対条件となりました。
でも最近は、由紀子も成長をして
情報の処理の仕方もずいぶん上手になったようです。
先日も、過去の場所であるはずの、
卒業した学校の運動会に行けましたもんね!!
これからも、成長していけば
もっと過去への扉が開いて、生活が楽になるのではないかと
期待しています。
記憶について(自閉症の特性19)
=END=