中国に行ったコトのある方ならば、中国は「壁の国」といった印象を持たれるかと思います。
特に庁舎などの壁は高く威圧的で、共産党の統治を褒め称える標語などが書かれています。
こうした壁に「見出し画像」の様な落書きをすると、まず「再教育中心」か「労働改造所」にブチ込まれます。 中国は監視・密告社会なので、軽い気持ちで反抗的なメッセージを書くコトは出来ません。
そんな権力の象徴である「壁」を重機によって引き裂く運動が、「女子革命突撃隊」の活躍によって全国的に広まるとしましたが、それは党にとって最も屈辱的なコトであり、とうてい許せるハズがありませんでした。
ここで壁を「打ち壊せ」ではなく「引き裂け」とした由来を語りますと、ピンク・フロイドの有名なアルバム「The Wall」の最後の方の歌「The Trial(裁判)」で、裁判官が下す判決のセリフ「Tear down the wall !」から取りました。
これは「心の壁を自らの意思で解消せよ!」と云ったニュアンスもありますが、「ベルリンの壁ライブ」でも歌われて壁の崩壊を加速させました。
この「壁を引き裂け!」の掛け声は中国全土にも木霊し、抑圧されて来た農民工と「黒い子等」が先頭に立って実践し、続いて不満を抱える学生や少数民族までが重機を操って壁を引き裂き始めます。
これは彼等にとって、物理的な壁よりも「心の壁」を引き裂く意味合いが強く、もう何者にも支配されず、自分の人生の主人公として自由に生きて行く覚悟を決めます。