直接物語とは関わらないのですが、この頃日本では縄文時代が終焉を迎えようとしていました。
それは大陸(朝鮮半島)から稲作が伝わったコトで、縄文人も社会化して貧富や身分の格差が生じ、太古からの狩猟採集に依る平等社会は失われて行きました。
しかし、朝鮮半島から遠い東北や北海道では縄文文化が残り、それはアイヌ文化として20世紀初頭まで生き続けました。
アイヌは動物達をカムイと崇め、彼等のお陰で生活が成り立つコトに感謝し、それは儀式と成って精神文化を育みました。
山の恵みの中でも最大のモノは熊で、アイヌにとって熊は神聖なカムイでした。
その狩の仕方は儀式的で、冬眠中の熊の寝倉に入るコトが勇者の証とされました。
これは「ゴールデンカムイ」に描かれていたのですが、もつ1つ「クマ撃ちの女」という漫画もあり、これはまだ読んでいないのですがとても面白そうです。
冬眠中に熊は寝倉で子を生み、それは8割方が雄と雌のペアらしいです。
寝倉の中で母熊は決して争わず、アイヌはそこで熊の親子と親しみます。
しかし、厳しい冬を越す為に熊の肉と毛皮は必須で、寝倉からおびき出された母熊は罠で動けなくされて狩られます。
その弔いに子熊は大切に養育され、子供たちの善き遊び相手と成ります。
しかし熊と人の共生には限界があり、大きく成り手に余る様になると、儀式を持って大切に命を頂きます。
こうした伝統から、様々なアイヌとカムイの伝説が生まれ、北海道では近年その失われた伝説を蘇えらそうという動きが活発に成って来ております。
流石に現代で、冬眠中の熊の寝倉に入って行く勇気のあるアイヌは居ないかと思われますが、それで負傷したアイヌは1人も居ないとされているので、伝説を信じてトライしてみるのも一興かと思います。