その馴れ初めは漫画「闇っ子」を引き継ぐとしましたが、そこでは闇っ子の少女を買ったボンボンはただのキザな男で、父親から性的虐待を受け続ける少女をあるていど慰めはしますが、それは所詮お遊び程度で、少女の美貌に嫉妬した母親が彼女の片眼を奪い額に一生消えない刻印を与えた時も、アッサリと少女を見捨てました。
しかし「Sun」の物語では、このボンボンはもっと思いやりのある人物とし、彼を恩師と慕うルーガに対して真摯な愛を抱き、母親の暴挙に怒ってルーガをより積極的に支援する様になります。
そのバックアップによってルーガは「女子鉄道突撃隊」を組織でき、砂漠のオアシス敦煌に孤児院を開いて、全国の闇組織から救出した闇っ子達をそこで養育しました。
この活動をヤオシャンは積極的に応援し、ルーガとの間には同士愛と言って良いモノが生まれます。
しかし彼は大金持ちの家の一人息子なのでルーガと公には結ばれず、中国のシキタリに従って金持ちどうしの政略結婚をしますが、そんな愛の無い結婚はすぐに破綻しました。
それは中国共産党(ドン)が大金持ちの資産を国有化する左寄り政策を取り、それに反対した資産家は脱税容疑で逮捕されるようになったからでもあり、多角的な事業で成功していたヤオシャンも容疑をかけられて追われる身となり、ちょうどその頃ルーガもウイグルの再教育中心を解放する闘いによってドンから指名手配されたので、2人はマカオから香港を経て台湾へと駆け落ちの旅をしました。
この旅については第5章「桟」で詳しく描きましたが、そこではヤオシャンはまだフーとしか名付けておらず、ルーガとの関係も曖昧なままでした。
2人が過去の主人と奴隷の関係を清算できたのは、ダラムサラーでの49日間に渡る秀祥(シューシャン)の「史上最大の葬儀」に於いで、そこで2人はとうとう真に結ばれて子を授かるとしました。
この「壁を打ち壊した愛」は、大金持ちと闇っ子という社会的格差の壁よりも、少女時代に負ったルーガの心の傷が大きく、その心理的トラウマの壁を打ち壊したのは、秀祥が戦いで散った多くのチベット人を率いて天界へと旅立った(銀河鉄道で)奇跡に依りました。
このへんは「燦」章として「Sun」の物語で1番の山場でしたが、銀河鉄道が天の川銀河で1番進化した惑星「萌」に到着し、そこで秀祥達が体験し学んだコトは後々の物語に反映させる予定です。
その1つとして惑星「萌」では、全ての人が憎しみや差別から解放されており、それは動物や植物から微生物にまで及んでいるとしました。
これこそ真の「壁を打ち壊した愛」と言え、それを追究するコトを物語のテーマにしたいと思います。