オーウェルは私にとって文章の師と言え、その中道精神は現代でも高く評価されております。
実際にこの「1984」は東京の図書館では予約待ちしなければ借りられない状況で、これはロシアのウクライナ侵攻が影響していると思われます。
私は映画で「1984」を観ましたが、まだ原作を読んでいなかったので借りようとしましたが、どうしてもムリだったので紀伊國屋で買いました。 因みにこれはロングセラーで一番売れている海外小説のようです。
「1984年」が描いているのは、現代のロシアやシリア、中国や北朝鮮のような、情報統制国家の内情です。
主人公は真理省(報道や教育を司る)に務める役人で、そこが真理を伝えていないコトに日々葛藤し、その鬱憤から酔っ払って秘かに本心を日記にぶちまけます。
しかし「1984年のロンドン」ではアチコチに監視の目が光っており、彼の怪しい行動は察知され目を付けられます。
彼は忠実な党員として上手く立ち回りますが、同僚の魅力的な女性に「真理」を訴えかけられ、彼女とは恋愛関係に陥り同調してしまいます。
これはもちろん罠で、彼は思想に問題があるとされ「再教育施設」に入れられ、そこで薬物やデンパチによって廃人にされてしまいます…
この全過程が本人の主観で克明に綴られており、これ程陰鬱な小説は他に類が無いとも言われます。
しかしこれは現実に行われているコトで、人間の精神をコントロールする研究は、独裁政権下で特に力を入れて行われております…
「1984年」はオーウェルの遺作で、彼はスペインでの共産主義革命に参戦して負傷し、それが元で46歳の若さで亡くなりました。
因みにこのスペイン内戦にはヘミングウェイも参戦し、彼は「誰か為に鐘は鳴る」という、映画化を主眼にした作品を生み出しました。
また因みに、ヘミングウェイはアルコール中毒から精神病院に入れられ、そこでデンパチを受けて廃人にされてしまいます。
彼はそれを恥じて憤り自殺したので、やはり電流で脳を破壊するのは人権侵害に他ならないでしょう。
話を中国の「真理省」に振りますと、そこでは歴史を修正するコトが仕事となります。
そこでは党(ドン)は常に正しかったとされ、その権力闘争の醜さや革命の悲劇は美化されています。
50万人が餓死した「長春包囲戦」は無かったコトにされ、3000万人超が餓死した「大躍進政策」も天候のせいにされています。
こうした歴史の修正はもちろん、「チベット侵攻」とその支配でも大いに成されており、そのウソは雪だるま式にどんどん膨れ上がって行ってます。
もう「ウソでした」と謝れる次元ではないのですが、永遠にウソをつき続けるコトは不可能なので、いつか必ずドンは子供たちにウソを教え込んだ責任を取らされるでしょう。
もちろん、そんな責任を取る度胸のある人物はドンに居らず、まだしばらくは「1984年」の国家が現代に存続するのでしょう…