キノ子のこのこ

「自分の意思はガツっと言え！
　いじめられた時は相手に○○されたとかグチグチ言ってないで
　やられたらやり返せ！攻めの姿勢で行け！」

と、今でこそ強いキノ子ですが
実は小学校６年生頃までは自分の思っている事は言えず、
いつもお友達に遠慮して
嫌な事も我慢、我慢の子どもでした。

いじめられても、悪口をノートいっぱいに書かれていても
キノ子は私には一言も言いませんでした。
ずっと一人で耐えていたみたいです。

悪口ノートは、何年かしてから押し入れの中から見つけました。

その我慢の結果が
夜驚症やチックに現れました。

夜中に突然「ギャー！！！」っと叫んで
部屋の中をぐるぐるぐるぐる走り回り
時には大泣きしました。

起きている時は顔をひょっとこのようにグニャグニャゆがめていました。

最初は私のせいかと思っていたんです。

私の育て方がいけないのかなぁと。

ずいぶん長い間、悩んでいました。
夜は恐怖で、昼間もキノ子の顔がゆがむ度に
とてもとても辛かったです。
光の見えないトンネルにいるようでした。


ある時、別の事で病院へ行きました。

その時、お医者さんの前でキノ子が急に泣き出したんです。

「子どもは大変なんだ！！！大変なんだ！！！」


・・・ビックリしました。


「嫌われないようにしないといけないんだーーー！！！」

ショックでした。

一体キノ子に何があったのか・・・
私は激しく泣いているキノ子に
お医者さんと一緒に尋ねてみました。

キノ子は思い出したくないから何も言いたくないと言いました。

口に出したら、もう一回嫌な思いをするからだそうです。


キノ子は「私なんか壊れちゃえ。いなくなれ！」と言っていました。

この言葉を聞いた時は
本当に切なくて、悲しかったです。

私はキノ子の気持ちに気づいてやれなかった事を悔やみ、
守れなかった事を悔やみました。

その後、
同級生のママから、学校で起きていた事を聞きました。

キノ子はとても大変な思いをしていたようです。

あるリーダーの子が中心になって
キノ子をいじめていました。


私はどうしたら良いか、キノ子をどうしたら守れるか
とても悩みました。

丁度、学校では個人面談の時期だったので
担任の先生に相談しました。

先生はキノ子に
「その子から離れて、別のお友達と仲良くしなさい。」
と言って下さいました。

でも、キノ子は嫌な思いをしていたにも関わらず、
いじめのリーダーになっていた子をかばっていたそうです。

なぜなら、みんなその子の事が怖くて言う事をきいているけれど
実はみんなその子が嫌いだったようなのです。

だから、自分がその子から離れたらかわいそうだと言っていました。


優しいのか何なのか・・・
だったら言いなりになったりしなければ良いと思いますが
まだ幼かったキノ子は
そんな葛藤の中、どうして良いのか混乱していたようです。


今思えば、キノ子はまるで悲劇の主人公です。

そして私は無力な母親でした。

でも、
その後キノ子はものすごい勢いでたくましくなっていきました。

そのいじめの中心の子に
言いたい事をハッキリ言うようになりました。

あれほど人に気を使って
いつも遠慮して
友達の意見ばかりに合わせていたキノ子は
いつの間にか、モノをハッキリ言う、
とても強い子になってました。

今では、友達の中で浮こうが何だろうが
嫌な時は嫌と言う子です。

時々、それは強すぎだろうと思う事もあります。
嫌な奴だと嫌われるのではないかと思う事も。

でも、キノ子はそれならそれでいいと言います。


キノ子はあの遠慮がちだった頃の事を思い出すと
自分にイライラするそうです。
あの頃の自分に会ったら、かかと落としじゃ済まないそうです。


子どもは親が思う以上にたくましいです。

成長します。


キノ子の場合、ちょっとたくまし過ぎ・・・かもしれませんね。




※夜驚症やチックは原因が取り除けたり、
　精神的に成長すれば完全に治りますよ。
　キノ子は今、なにひとつ症状が出ていません。




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