暁に咲く幻の花

花が咲くように生きていきたいな。日々のあれこれ、嬉しいこと楽しいこと好きな人のことを、花や自然にことよせて綴ります。

少し怖いかもしれない不思議な話

2015-08-11 19:18:03 | シンガーソングライター

こんばんは。
始めに誤解なきように…私はまったく霊感はありません。
だから身も凍るような怖い話は体験してません。
けど、世の中には霊感がない私でも首を傾げるような出来事ってあるんですね。

今までは怖くない不思議な話でしたが、今日は少し怖い不思議な話を…

今から二十数年前、京都の親戚の家に始めて一人で泊まりに行きました。
今も変わりませんが、伝統的な京都の町屋造りの家で、京都の暑い夏を涼しく過ごせるように工夫された家でした。
従姉妹と浴衣に着替え、美味しいかき氷を食べたり、貴船の方まで行くとかなり涼しくて床に足をつけるとひんやりとするくらいです。貴船には怖い神社もありますね~夜中に五寸釘を打つ女性がいるとかいないとか。
 それはともかく、私は鱧料理など分不相応な料理をいただいて、家に戻りました。
就寝の支度をしていると、年上の従兄弟が帰ってきて部屋に挨拶に来てくれました。「楽しかったか?」「うん!お兄ちゃんも一緒に来たらよかったのに」お兄ちゃんは髪をかきあげながら畳に座り「サークルがあるからなぁ。またゆっくり遊んでやるから」と私の頭を撫でてくれました。
「それよりな、今夜はこっちの障子を絶対に開けたらあかんよ。何か聞こえても、絶対に開けたらあかん」
「何で?音って何?」
苦笑したお兄ちゃんは「ん~、まぁ蚊も入るしな。障子は開けへん方がいいねん。約束や」と出て行きました。
私は、何かわからないけど約束したし、障子を開けることはしないと決めて、電気を消して薄い掛け布団をお腹にかけて寝ました。

 何時間経った頃でしょうか。
夜中に目が覚めて、喉の渇きを感じた私は枕の近くに置いてあった水差しを取り、コップに水を注ぎ一口飲んだ時です。
 ガチャ…ガチャ…ガチャと何か金属が擦れるような音が外から聞こえました。残っていた水を一気に飲み、私は障子の近くに寄り全身を耳にして外の音を聞こうとしました。
確かにガチャガチャという金属音とズッ、ズッ、という何かを引きずるような音も聞こえました。
何か大勢が歩いているような音です。
 私は京都だから祇園祭のことが思い浮かびました。
祭は先月終わったけどあれだけの祭だから後始末も時間がかかるんだ。昼間は観光客もいっぱいだし、暑いから夜に片付けてるのかもと、今考えれば有り得ないことを思いつきました。
祇園祭の鉾は綺麗だったけど、人がいっぱいいて良く見えなかったと不満だった私は、後片付けでもいいから鉾を見てみたいと、開けてはいけない、通りに面した障子をそっと3cmほど開けてしまいました。
編み戸の向こうに見えたのは、もちろん祇園祭の鉾などではありませんでした。

 ガチャ…ガチャ…という音は、戦国時代の武将が身につけていたような鎧が、擦れる音でした!
隊列を組んで目の前を歩いて行きます。よく見えませんが、皆どこか壊れたような鎧で、矢や刀が身体に刺さっているようにも見えます。
私は、もうガタガタと身体が震えて、叫び出しそうな口を手で覆うのが精一杯です。
でも、手の平の隙間からヒューという呼吸音が出てしまいました。
私が、あっと思うのと同時に隊列の一人が首を捩って私を見上げました!
私からは顔など何も見えませんが、睨まれたような恐ろしい気配だけはわかりました。
何がどうなるのかわかりませんが、もう駄目だ、死んでしまうと思ったことは覚えてますが、その後のことは、私は記憶がありません。

 朝、私はしっかりと閉じた障子のそばで寝ていました。
叔母に肩を揺すられ、寝相が悪いと笑われながら洗顔を済ませて朝食をとるよう言われました。
昨夜見たモノが、夢なのかと私は頭の整理がつかないまま朝食をいただきました。
その後、従兄弟のお兄ちゃんに呼ばれて部屋に行くと、私は黙っていられず、「お兄ちゃん、あの人達は何?鎧みたいなの着て歩いてた!何なの!」とまくし立てました。お兄ちゃんはふ~っと息を吐くと、「見たまんまや」と言いました。
「あれはな、応仁の乱の時に死んだ奴らや。そうやな、もっと前の足利尊氏と後醍醐天皇さんが戦った時やとにかく京都で死んだ奴らが、あの世から隊列組んで帰って来るんや。今はお盆やからなぁ。あの世に戻る時もああして隊列組んで帰るな。お盆の間は京都はあんなんがウロウロしてる。一人の奴もおるしな。けど、見たのに連れて行かれんで良かった」
「連れて行かれるってどこに?」
「あいつらと同じ場所や。あの世に引き込まれる。でもまだお盆の始めやから免じてくれたんかな。何にせよ、無事で良かった」
お兄ちゃんは良かったと繰り返し言ってくれましたが、私はもう怖くて震えが止まりませんでした。

京都は千年の都。
政争で負けた人の恨み、戦で命を落とした人の怨嗟、飢えで亡くなった民の血、女性や子供の涙。
そんな哀しいモノが、都中に染み込んだ場なんですね。
河原は処刑場でした。
東西南北を鬼(死霊や妖魔)から護る都でしたが、今はそんな護りはありません。
だから私が見たようなモノもいるんでしょうね。
それからも、毎年私はお盆の五山の送り火を見るために親戚のあの家に行きますが、あれきり物音も聞いたことはなく、もちろん障子を開けないので何も見ません。
歳月を経た今では、夢か幻か現実かもわからなくなっています。
また、夢オチか!とお叱りを受けますね。
私の不思議な話は、いつも夢と現実の狭間にしかないようです。


彼岸花=曼珠沙華


嫌う人も多いですが、私は好きな花です。


幽玄な紅の世界 どこに続く道なんでしょう?やっぱりあの世でしょうか…
 曼珠沙華はこの世に咲きながら、あの世に繋がるような、あの世を焦がれながら咲いてる花に見えます。
妖しさをまといながら咲く花に、不思議な魅力を感じます。


白い曼珠沙華

黄色もあります

やはり赤が、1番曼珠沙華という名に相応しいですね


読んでくださり、ありがとうございます。