ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

北方領土問題 その本質をさらに深堀り

2018-11-18 14:49:27 | 日記
分からない。きのう、本ブログの記事を書きあげたあとで、考えた。やっぱ
り分からない。昨夜、寝つけないので、考えた。う〜む、どうしても分から
ない。

きのう本ブログで書いたように、新聞各紙の社説を読んで、私が得た結論は
次のようなものだった。北方領土問題は、旧ソ連の許されざる不法占拠
(=〈正義〉の蹂躙行為)によって引き起こされた、実にけしからん問題だ
ということである。〈正義〉を踏みにじる無法者の行為は、決して許しては
ならない。ロシアに経済支援のニンジンをぶら下げて、泥棒に追い銭をする
ようなことをしてはならない。〈正義〉を曲げるようなことをしたら、日本
は国際社会から軽蔑されるだけだろう。

それは良い。それは分かる。しかし、である。日本が〈正義〉を曲げず、ロシ
アの行為を許さないまま、頑なにこの態度を貫けば、結果がどうなるかは火を
見るよりも明らかである。北方領土が泥棒の手に渡ってから、すでに70年以
上が過ぎたが、この現状は今後も変わらず、そのままずっと続くだろう。故郷
を追われた旧島民は、故郷の土を踏めないまま、歳をとってどんどん亡くなっ
ていく。周辺の漁業者が違法操業の咎でロシア当局に捕らえられる事件も、相
変わらず続くだろう。

最低限、日本の国家は旧島民や周辺の漁業者に、それなりの補償をする必要が
ある。その上で、従来の「4島返還」の主張を貫く。それが誇りある国家とし
て筋を通し、〈正義〉を貫徹するということだろう。

しかし、そうすることに一体どんな意味があるのか。私は素朴な疑問を禁じ得
ないのだ。国境紛争は、国家間のいわば宿命である。以前、本ブログで述べた
ように、国家はそれぞれ〈力への意志〉を持ち、己の領土を拡大しようとし続
ける存在である。国家の〈力への意志〉同士がぶつかり合うとき、それは力に
よる押し合い勝負の形をとるから、決着は力(=武力)によるしかない。力は
〈正義〉なのだ。日本も膠着状態を打破しようとするなら、武力を恃(たの)み、
それによって4島を奪い返すべきではないのか。それが〈正義〉を貫徹すること
ではないのか。

いや、〈正義〉とはもっと高尚なものだ、という意見もあるだろうが、私が言
いたいのは、〈正義〉とは、利害絡みの、せいぜいその程度のものではないの
か、ということなのである。「〈正義〉を貫け!ロシアと妥協するな!」とい
う勇ましい号令を真に受けてはならない。うろ覚えで恐縮だが、北方・千島列
島へのソ連軍の侵攻は、アメリカが(日本と旧ソ連とを仲違いさせるために)
仕組んだ罠だという話もあったように思う。

だが、〈正義〉を貫徹することが、こうして戦争につながり、多くの犠牲を免
れないとしたら、それよりは〈正義〉を曲げ、話し合いや取引をして、「2島
返還」へと持っていったほうが、国民の望みや利益にも合致し、賢明ではない
か。メンツにこだわって、いたずらに膠着状態を長引かせたのでは、元も子も
ない。ーーそう考える為政者の判断も、解らなくはない。

「2島返還」をとなえる人たちの気持ちが、私にはよく解る。う〜む。そうす
ると私の思考は、元の(新聞社説を読む前と同じ)段階に戻り、そこから堂々
巡りを始めてしまうのである。いやはや、結局のところ、どっちが良いのか。
私には分からない。昨夜はとうとう眠れなくなってしまった天邪鬼爺である。
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