論語を現代語訳してみました。
泰伯 第八
《原文》
子曰、民可使由之。不可使知之。
《翻訳》
子 曰〔のたま〕わく、民〔たみ〕は之〔これ〕に由〔よ〕ら使〔し〕む可〔べ〕し。之を知〔し〕ら使む可からず。
《現代語訳》
孔先生はまた、次のようにも仰られました。
〈修養の身である知識人は、〉民に対しては、和やかに接することを心せよ。
その際、学んだ知識(=古典や礼学など)を振りかざし、押し付けたりしてはならぬぞ、と。
〈つづく〉
《雑感コーナー》 以上、ご覧いただき有難う御座います。
前述の『詩に興り、礼に立ち、楽に成る』では、学ぶうえでの修養過程を述べており、今回はその修養過程によって得た、『知識人』としての具体的な実践方法(振る舞いかた)みたいなものを、弟子たちに伝えた内容であると捉え、語訳してみました。
そのうえで、今回の語句を語訳するにあたり、一度目の『之』については前述のなかの「和やかさ」を引用し、二度目の『之』については『その際』とし、話の前後の組み立て役としてみました。
とりわけ、今回の語句に用いられている『之』や『可使』などを語訳するにあたっては、さまざまな捉え方ができたりなんかもするので、非常にたのしかったりもしますが、できるかぎり現代人目線(自己都合)にならないように注意する必要もあります。
※ 孔先生とは、孔子のことで、名は孔丘〔こうきゅう〕といい、子は、先生という意味
※ 原文・翻訳の出典は、加地伸行大阪大学名誉教授の『論語 増補版 全訳註』より
※ 現代語訳は、同出典本と伊與田學先生の『論語 一日一言』を主として参考