論語を現代語訳してみました。
泰伯 第八
《原文》
子曰、三年學、不至於穀、不易得也。
《翻訳》
子 曰〔のたま〕わく、三年〔さんねん〕 学〔まな〕びて、穀〔さいわ〕いに至〔いた〕らざるは、得易〔えやす〕からざるなり。
《現代語訳》
孔先生はまた、次のようにも仰られました。
三年のあいだ熱心に学んで、それでもなお足らずとして仕官を望まないというのは、甚〔はなは〕だ得難〔えがた〕い人物であるぞ、と。
〈つづく〉
《雑感コーナー》 以上、ご覧いただき有難う御座います。
ここで気を付けないといけないことは、仕官しない弟子というのは、何も学問ばかりに励んでいるということではなく、それなりに何かしらの職をもっていたであろうし、また家業を手伝っていたりなど、さまざまに考えることもできると思います。
とにかくは、為政者となるべく学問を励んでいる弟子というのは、それほど多くはなかったんだと、そんなふうにも思われます。
また、孔子自身が公冶長第五のなかで、漆彫開〔しつちょうかい〕に仕官を尋ねたところ、漆彫開は「仕官しても、期待に添えられますかどうか、甚だ疑問にございます」といって仕官を断り、それに対して孔子が喜んだという語句がありますから、孔子はきっと、一緒に学び合える友がいることに、一抹の幸福を抱いたのやも知れませんね。
※ 孔先生とは、孔子のことで、名は孔丘〔こうきゅう〕といい、子は、先生という意味
※ 原文・翻訳の出典は、加地伸行大阪大学名誉教授の『論語 増補版 全訳註』より
※ 現代語訳は、同出典本と伊與田學先生の『論語 一日一言』を主として参考