先日出席した銀行セミナーでのメモを整理してみた。
・最近のインドネシア、日本を取り巻く経済状況
ドル高、ルピア安、円安にあわせにプラスしインフレが各国起きている。FRBが昨年末に金利を下げて、アメリカのインフレは収まっては来た。しかし、アメリカの一般家庭の貯蓄が24年末には少なくなり、カードローンや自動車ローンの延滞が増加し始めた。アメリカの個人資産は40%が株、日本は14%程度、つまりアメリカ経済は株価で消費の動向も変わる。そこでアメリカは関税をあげたり、特に中国には60%という大きな関税をかけることを考えており、株価の安定に躍起である。
そんな中でインフレが進んだ日本は、つまりお金の価値が下がっているという状態。だからインフレが進むと円が弱くなる。ここから日銀が金利を上げてお金の価値を上げて、インフレを抑えていくところである。
インドネシアはというと、マレーシア、シンガポール、タイに対ドルの強さでは負けている。GDPは5%付近で成長しているものの、実質は小売売上高指数は伸びておらず、金利も上がっていない。23年に進んだインフレが6%から3%に落ち着いたのも、そもそも中間層がお金を使えなくなって食品以外の購入が減り、小売売上高が減ったのことも原因である。インドネシア中央政府は日銀とは違い、物価安定だけでなく、為替安定も業務範疇になっている。なので日銀以上に金融緩和停止もしづらくなっており、国民が経済負担を感じやすくなっている。国内経済安定だけ、つまり国の経常収支だけだと赤字の国が珍しくない国だが、貿易での輸出で黒字にしている国だからである。
人口ボーナスだけでなく、減っていると言われる中間層が各国レベルの消費をできる層に成長するには時間がかかる。
・プラウボウ新政権の経済への影響
前政権からの基本的な引継ぎではありながらも、多くの関係者への良い顔をする姿勢で、多くの省庁や役職が増えている。化粧品に関係するところだと、ハラル製品保証庁が新設され、大統領府直轄となった。そのトップが学生運動の元トップであり、新政権の幅広く税金を分配する姿勢が見える。
役職が増えることにより、許認可取得が複雑化し、意思決定の混乱も影響が出る可能性がある。2029年の選挙に向けて今回の選挙は布石であり、この5年はそこまでの過程である。ビジネス環境を良くし(先進国のように完全に数年で整えることは不可能)、ビジネス構造の高度化が大きな課題。アイフォン16が販売すれば売れるのに、それよりも外資投資を優先させている姿勢がまさにその縮図が鮮明に出ているところである。