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十二単衣を着た悪魔

2012年09月14日 | 

              十二単衣を着た悪魔          

                 著者   内館牧子さま

 

        P  344 

 

 俺はずっと昔、あっちの世で聞いたことを思い出した。

目の不自由な子供が描いた母親の絵には、手が何本もあったという。

母親の姿を見たことがない子にとって、抱っこしてくれて、本を読んでくれて、

一緒にごはんを食べてくれて、手を引いて歩いてくれて、ありとあらゆることを

助けてくれる母親は、きっと手が何本もあると思ったのだろう。