十二単衣を着た悪魔
著者 内館牧子さま
P 344
俺はずっと昔、あっちの世で聞いたことを思い出した。
目の不自由な子供が描いた母親の絵には、手が何本もあったという。
母親の姿を見たことがない子にとって、抱っこしてくれて、本を読んでくれて、
一緒にごはんを食べてくれて、手を引いて歩いてくれて、ありとあらゆることを
助けてくれる母親は、きっと手が何本もあると思ったのだろう。
十二単衣を着た悪魔
著者 内館牧子さま
P 344
俺はずっと昔、あっちの世で聞いたことを思い出した。
目の不自由な子供が描いた母親の絵には、手が何本もあったという。
母親の姿を見たことがない子にとって、抱っこしてくれて、本を読んでくれて、
一緒にごはんを食べてくれて、手を引いて歩いてくれて、ありとあらゆることを
助けてくれる母親は、きっと手が何本もあると思ったのだろう。