私の個人的な事柄での今年一番は・・・やはり、オーケストラを退団したことでしょうか?
オーボエを始め、オーケストラに入団した頃、54歳で荒川の土手沿いにあるリハビリテーション病院の事務長になりましたが、病院の事務を全く知らない私が行く訳ですからどうでも良い棚ざらし・・・というポストらしく、形だけは個室、実は建物の一番端っこで職員が行かなくても済むような場所で、仕事も実質的には課長が全て仕切っていました。
誰も来ないことを良いことに、よくiPodに入れた音楽を聴いていたり、「ヒンケ」というオーボエの教科書を見て指使いを練習したり、楽典の教科書やオーケストラのスコアとにらめっこをしていました。当時のセンター総長は高名な医者で脊椎手術の神様と言われた方でしたが、音楽という共通の趣味で時間の許す限り二人で音楽の話をしていました。たまたまその当時・・・ドクターのお兄さんがK県の医師会長をしていたり、K県の知事がかつて私の上司であったりしたので別の話題でも盛り上がりましたが・・・
そんな話の中で、私がオーボエを始めたと知った彼がローター・コッホ(ベルリンフィルの首席オーボエ奏者)について実に熱く語っていたのが印象的でした。コッホだけではなくカラヤンがベルリンの指揮者であった当時、ベルリンフィルのメンバーは飛び抜けて名手揃いでした。
実は、病院の事務長になる前、出向を命ぜられていた時、音楽事務所からプログラムの売り込みがあって、クラリネットのカール・ライスターが中心になってブラームスの5重奏を・・・という話しが来たので一も二もなく飛びつきました。ベルリンのクラリネットはザービーネ・マイヤー事件で大揺れだったと思いますが、やはりベルリンフィルの首席クラリネット奏者だったカール・ライスターは素晴らしかった!田園ホール「エローラ」という・・・外では秋の虫の合唱がかまびすしい田圃の中のホールでこのブラームスの五重奏を聴きました。1997年だったと思います・・・ちなみに、終了後のレセプションに企画の張本人である私は呼ばれなかったなあ・・・
さまざまなクラシック音楽の経験の中で、結構大きな事件でした。
ブラームス クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115 ライスター /アマデウスsq. Brahms : Clarinet Quintet