旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

ユリノキの花

2006-05-29 00:35:13 | 花鳥風月


 

いつ咲くのだろうと心待ちにしている花がある。

 それは東北大学農学部の構内にあるユリノキの花。樹高はおよそ20~30mにもなる木の全体に、それこそ鈴なりに咲く。底色が“だいだい色”の黄緑がかった花びらで輪をなすその姿、かたちは異彩を放つ。ユリノキは別名“チューリップの木”とも言うのだそうな。たしかに花は似てなくもない。

 とはいえ、ユリノキという名前とはうらはらに、百合のような艶やかさは感じられない。ボタンや芍薬のような派手やかさもない。それでいて一度見れば忘れられない奇妙な花である。

 遠くから眺めれば葉っぱの色に同化し、あまり目立たない。近づいて見れば、その独特の色やかたちに何とも複雑な思いにさせられるし、木全体に咲き誇っているその姿には驚いてしまう。

 わたしは、農学部の隣接地にある学生寮で4年過ごし、その後も近辺で6年暮らしてきた。また、今の居住地(仙台市泉区)に場所を移しても、長年、それもかなり頻繁に通勤の道として農学部構内を使ってきた。

 しかしこの間、一度としてこの花には気づかなかった。それが去年の今時分、あまりに天気も良かったのでふと空を見上げたら「これはすごい!!」ということになった。早速、携帯電話のカメラ機能を使って撮影。職場の同僚にお披露目をした。次の日は、デジタルカメラを持ち出し、記録。そのときの写真が今のこれ。

 ちなみに、先日、農学部構内を通勤の道として使っている職場の友人達とこの花の話をしたら、やはり気づいてはいなかった。

 今年は幾分開花が遅れ気味だが、つぼみが大分大きくなってきたのでまもなく咲くと思う。ぜひ、この怪しげ(?)な花を一度は眺めて欲しいものである。場所は、東北大学農学部の正門を入ったロータリー付近なので。

  ※東北大学の青葉山移転に伴い、農学部はあと数年で無くなる予定と聞く。
    こうしたユリノキのような歴史を刻んできた木々が切り倒されることの無いよう
   心から願っている。





コメントを投稿