(北貞山運河を行く)
昨日は、国内最長運河である貞山運河を巡る舟に乗った。仙台空港や空港アクセス鉄道との連携に向けた試行である。
一行は、総勢37人。県庁、名取市役所やアクセス鉄道の職員、大学生等で構成。名取市閖上を拠点に、貞山運河クルーズや地引網を主宰している方々の協力を得てのことである。
舟は4艘。乗船・下船場所は、仙台空港すぐ脇にある東北大学ボート部艇庫の桟橋。
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井戸浦まで行くわれわれ20人は、網元 針生丸の2艘に分乗。
こちらは、桟橋を離れていよいよ運河を北上しようというシーン。
(対岸は仙台空港)
ここは、空港への着陸誘導路の真下。われわれの直ぐ上を大型ジェット機が、通っていった。迫力は満点。(空港周辺には、カメラを抱えた人々が大勢いる。しかし、真下で見ることのできるのは、われわれのみ? そんなことを思い、つい優越感を感じてしまう。)
ここは広浦湾。名前のとおり本当に広い。陸地からは何度も眺めているが、いつも「あの向こうを見てみたい。」という思いに駆られていた。こうして湾に舟を浮かべて見ると、360度全方位を見渡せる。
湾内の松林の一角が立ち枯れている。樹上にはかなりの数の黒い鳥の群れ。「松くい虫の被害が広がり、それにカラスが止まっているのだろう。」などと想像していたら、船頭さんの解説があった。「カラスではなく、鵜。鵜が松を枯らした。」それを聞いた一同は、「エエ~!」となった。
ここは、広浦湾から名取川に出る水路。運河沿いには民家の家並み。
いよいよ水門を抜けて名取川。河口部はとても広い。持参のカメラでは撮影しても表現不可と諦める。
名取川から眺める井戸浦の様子。ここには人が入れないので、まさに手付かずの自然のまま。春は沢山の鶯が飛来するそうだ。
こちらは、井戸浦内の北貞山運河。この運河は新堀の一部を構成し、開削は明治時代に入ってからとされている。両サイドの松の立ち姿は、見事と言うしかない。
運河にはマガモの群れ。羽を休めているところに舟が行くものだから、いっせいに飛び出す。また、その行き先が舟の前方なので、同じ事をややしばらく繰り返すことになる。こちらとしては、「なにも後の方に飛んでいけば良いものを・・・。」などと、これまた勝手なことを考えてしまう。
本当に静か。穏やかな水面。上空には青空と白い雲。マガモの群れ。水面をかすめていくアオサギ。しばし心静かに眺めていたい。
「井戸浦はすばらしい所」とは多くの方々の評だが、まさにそのとおりだと実感した。
浦から閖上に戻るために走らせていた舟に魚が飛び込んできた。体長約25cmくらいのハヤ。前方を行く舟のスクリュー付近でも水面に跳び上っている。不思議な光景に魚影の濃さを知らされた思いである。
閖上港に戻り、昼食。網元さんからは、名産の焼きガレイ、アサリの味噌汁、新鮮野菜の漬物が提供された(今回の会費では大幅赤字にさせてしまったのではないかと、わたしとしては心配しているだが)。“旨い”。そして一同、持参のおにぎりを頬張りながら、運河談義に盛り上がった。
※このときの様子は『貞山運河事典』に詳細を掲載しています ⇒ こちら
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帰りの舟は、再び仙台空港脇まで。余韻に浸っているのか皆静か。ときどき、運河を行くわれわれを見て、家族連れが手を振ってくれる。これまた心温かくなる面白い光景と思う。
「どうして人は、列車や舟(船)で行く人を見ると手を振るのだろうか?」
自動車での場合には無いし、ましてや街中ではけっして見ることのできない光景である。
鉄道や船の旅の魅力の一つとして、改めて認識した次第である。
今日は、本当に楽しい時間を過ごした。お世話になった舟主の皆さんに心から感謝している。
乗船・下船場所:仙台空港すぐ脇にある東北大学ボート部艇庫桟橋
時間:午前11時~午後2時(うち昼食:45分)
会費:一人2千円
アクセス:仙台空港鉄道
協力:網元 針生丸、小畑地引網
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