一部で、地球温暖化の犯人は原発の排熱、という言説がまかり通っている。その説によれば、火力発電のエネルギー変換効率は50%だが、原発は30%だから、というもののようだ。排熱量だけ見るとそう思えるかもしれないが、実は温暖化の原因とされているのは、排熱ではなく、地球からの放熱量の問題。
地球に降り注ぐ太陽エネルギーは膨大で、人類が消費している1年間のエネルギーを、たった1時間でまかなえるほどだそうだ。つまり、太陽は人類が生成する8,760倍(24時間×365日)のエネルギーを地球に降り注いでいる。そして、その30%は宇宙に反射していく。だから、実質は6,132倍が太陽由来。
さらに、人類が生成するエネルギーのうち原子力は6%くらい。だから、太陽からのエネルギーは原発の約10万倍。変換効率を考慮して排熱分だけ見ても5万倍くらい。(=発電エネルギーの2倍が排熱になるから) そして、化石燃料による温暖化効果ガスは、宇宙に出ようとする赤外線を大気が吸収してしまう原因となるので地球温暖化になる。
つまり、地球から反射して出て行くはずの太陽エネルギー(人類が生成するエネルギーの2,628倍=原発の約4万倍)にいかに滞りなく出て行っていただくか、というのが課題になっている。原発の排熱を気にして、その数万倍の方を増やしてしまったのでは温暖化対策にならない。
さらに言うと、月が地球の周りを周回することで地球がモミモミされて、それが地球を温めるエネルギーにもなっているのだが、これ由来のエネルギー量は計算方法も試算も知らないのでとりあえず無視する。ともかく、原発の排熱という枝葉末節のさらにその先の葉脈を気にしすぎても無意味だ。
この手のことを問題視する人々というのもだいたい予想がつきそうな、いつもの顔ぶれだと思うが、どうしていつもこういう特定のミクロなポイントだけを異常に問題視して、全体像を見失うのだろうかと不思議に思う。
よろしくお願いします。
定量的に比較されているのはけっこうで、たいへん参考になりましたが、太陽からの熱量の放射ぶんと、原発の排熱をダイレクトに比べて5万倍といってもそれが直接問題なのではないと思います。
太陽からの放射はもともと自然に存在しているものです。いっぽう、原発の排熱はすべて人工的起源です。ですから、同じように人工的起源、つまりいわゆる「化石燃料」消費による排熱及び、放射熱の「変動分」を比較しないと意味がないと思います。人類が人為的に二酸化炭素を放出しても、それによって、放熱量が1/50000以下しか変わらなければ、原発の影響のほうが大きいことになると思います。
つまり、お説は、二酸化炭素の増加量の放射熱への影響が1/50000よりも大きいという前提でおっしゃっていて、それは常識なのかもしれませんが、まず、定量的比較をされるなら、そちらの前提が自明かが議論されるべきだと思います。