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偽装貧困JK問題

2016年08月21日 | 時事・雑文

偽装貧困JKの件だが、本来は「貧困」を報じるなら社会問題であって、それは統計データとして表現されるべきもの。なのに特定個人の少女の生活状況にフォーカスするから、過去にツイートしていたランチ代や映画のチケットがどうだとかいう変な方向に話が進む。

特定個人の問題なら姉でも親戚でも助けてやればいいだけ。あのJKが「うちにはパソコンもエアコンもない」などと言っても、それを社会問題化しようとするのは無理がある。NHKは問い合わせに「パートの母子家庭だから貧困」などと回答したようだが、乱暴すぎる。

だったら、世間のパートの母子家庭を全て社会問題化するのか。日本のような先進国での「相対的貧困」は、餓死などの危機に直面するような「絶対的貧困」とは違う。絶対的貧困に対する社会保障としては、生活保護制度が既に備わっている。だから、問題の本質は所得格差のはずだ。

相対的貧困とは、所得の中央値の半分を下回っている人を指すそうだが、平成27年度の国民所得の中央値は427万円だそうだから、年収213万円以下が該当する。12等分すると月収17.8万円相当。統計では年収200万以下世帯が20%。

資本主義国では世帯収入なんて千差万別だから、日本全体がどんなに裕福になっても相対的貧困は必ず生じる。むしろ、景気が良くなって上位所得層の収入が増えるほど相対的貧困層の比率は上昇する。だから、相対的貧困の全てを社会問題化するのも無理がある。

進学の問題としては、学業優秀なら返済不要の給付型奨学金制度もある。そうやって全体を俯瞰していくと、NHKがそもそも何を社会問題として提起したかったのかがますますぼやけてくる。本当は、貧困ビジネスを回している各種の組織の実態の方が報じる価値が高いのではないのか。



蛇足だが、平成26年度のNHK職員の平均年収は1160万円だそうだが、これが相対的貧困層を増やす一因になっている。これをサラリーマンの平均年収415万円に近くなるよう半減させてやれば、相対的貧困層は減る。統計とはそういうものである。


追記)
相対的貧困を劇的に減らそうとしたら、図の青線のような施策を打つ必要がある。それには、「最低賃金引き上げ」や「年金の最低受給額引き上げ」といった要素が効いてくる。現実的な施策かどうかはわからない。



平成27年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa15/index.html


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