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首相や閣僚の靖国参拝が政治問題化した背景には合理的な理由がある。中国は、歴史問題の次元ではなく、軍事戦略の次元で靖国神社を地上から抹消したいのである。なぜならば、今後戦争になった時に再び日本軍(自衛隊)が、「靖国で会おう」などと決死の覚悟で戦いに臨んでは困るからだ。
日中戦争を通じても日本軍の精強さは中国に知られている。南京戦でも、日本軍の第六師団第四十五連隊第十一中隊160名が、退却中の中国兵2万に包囲されたが、激戦の末にこれを撃退している。太平洋戦争時の特攻隊も同じ。死ぬ覚悟で挑んでくる兵士は、生き延びようとする兵士より恐ろしいのである。
だから、日本に戦争を仕掛ける意図がある国家からすると、靖国神社というのは開戦前に除去しておきたい存在なのだ。その意味では天皇(皇室)も同じ。特に戦時においては、天皇と靖国神社は、日本国民と日本軍(自衛隊)の団結力と戦闘力を高める精神的支柱である、と敵国には見えるのである。
第二次世界大戦で日本と戦った米英豪などは今さら靖国神社など恐れてもいないし、批判もしない。どこの国においても国家のために戦死した兵士を追悼するのは当然のことだし、そもそも日本と戦争する予定がないからである。逆に、靖国批判をする国家は日本と戦争する意図があると見た方が良い。
中国は言うまでもないことだが、尖閣どころか沖縄の領有も主張するほど侵略の意図が明らかだ。韓国も身の程知らずながら竹島を占拠し、対馬の領有も主張するなど日本に敵対的である。この中韓両国は歴史問題を装いながらも、実際は近未来の対日戦争に備えて靖国の無力化を画策している。
国内にも主にサヨク陣営に靖国批判は多いが、これは自覚的か無自覚かを問わず、中国が練り上げた思想戦略に侵略されていると疑った方が良い。中国は、知られているように「三戦(輿論戦、法律戦、心理戦)」をもって敵に挑む。靖国批判による靖国神社の無力化はこのうちの心理戦に該当する。
心理戦とは「外交的圧力、噂、虚偽の情報の流布などを通じて敵国内で敵の指導層への疑念や反感を作り出し、敵の意思決定能力に影響を与えたり、攪乱したりすることを意図した活動」とされる。つまり、戦争になっても日本軍(自衛隊)の隊員には決死の覚悟を持たせないようにしたいのだ。
今さらここで指摘するまでもないが、ことさらに「平和」を念仏のように唱える勢力は、実際には国防の弱体化と戦乱を招き、国家を存亡に追いやる危険な思想をばらまいている。中国から日本への戦争は上述の三戦によってとっくに始まっていると各自が自覚する必要がある。