この記事は次の記事の続きです。
深田事件は複数の訴訟にまたがっている。次の記事で全体像が整理されている。
深田萌絵(浅田麻衣子)レバトロン関連訴訟の内容まとめ
https://www.jijitsu.net/entry/fukadamoe-saiban-matome
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それらを逐一追うことはしたくないが、前記事で整理した事実関係の裏付けに手頃な判決があったので、これを元に追加考察する。参照するのは次の記事。(やたら誤字が多いように見えるが、訂正せずにそのまま引用する)
(裁判の基礎データ)
原審 平成26年ワ2779
高裁 平成28年ネ1198高裁第10民事部
原告 revatron株式会社
被告 alpha it system
原告 revatron株式会社
代理人 永野亮 辞任 野尻裕一 辞任 伊藤敬洋 辞任 池津学 辞任
平成26年2月6日提訴
代表者 浅田麻衣子 提訴時は本人訴訟
平成26年4月7日 永野が受任 17日に辞任
平成26年5月7日 野尻裕一が受任 6月24日に辞任
平成26年6月30日 伊藤敬洋・池津学 受任 平成27年3月3日辞任
平成28年1月27日言渡し
請求の趣旨 暗号技術の詐取などで2千万円
判決 請求棄却
永谷典雄裁判長
高裁 平成28年ネ1198高裁第10民事部
原告 revatron株式会社
被告 alpha it system
原告 revatron株式会社
代理人 永野亮 辞任 野尻裕一 辞任 伊藤敬洋 辞任 池津学 辞任
平成26年2月6日提訴
代表者 浅田麻衣子 提訴時は本人訴訟
平成26年4月7日 永野が受任 17日に辞任
平成26年5月7日 野尻裕一が受任 6月24日に辞任
平成26年6月30日 伊藤敬洋・池津学 受任 平成27年3月3日辞任
平成28年1月27日言渡し
請求の趣旨 暗号技術の詐取などで2千万円
判決 請求棄却
永谷典雄裁判長
(事実認定)
認定事実
契約締結
平成23年12月16日
一条目的 原告と被告会社は、vatroni FPGAボード販売のために密に協力し合う。原告と被告会社は、共同で本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓を行う。
二条役割分担 原告は、被告会社の本件製品の技術理解に対するサポーとを行う。被告会社は、本件製品のアプリケーション開発を優先的に行い、原告はそれに際して被告会社のサポートを行う。原告は、被告会社を本件製品のソフトウェア・サービスなどを優先的に行うぱーとなーとする。
三条報酬。原告は、被告会社と本件製品販売によって得られる祖利益を以下のように分配する。祖利益は売値から本件製品の仕入れ代金を引いたものとする。
販売業者 15%
被告会社 25%
原告 60%
四条 保証金 被告会社は、原告とのVatroni FPGAボード教務を開始するにあたり、一千万円の保証金を原告に収める。内金の300万円は平成23年11月29日に受領済みである。
原告は、被告会社から預かった保証金を以下のように分割返済する。
平成24年6月30日 5000000円
平成24年9月30日 2500000円
平成24年12月31日 2500000円
五条 保証金返還に対する罰則 原告は、被告会社への返還が遅滞した場合は、返還時に年利1%の金利を付して返還する。
被告会社は、原告に対して、本件契約書4条の保証金として、平成23年11月29日に3000000円、同年12月19日に7000000円を支払ったが、原告は、上記保証金を被告会社に返済していない。
平成24年9月25日 新丸ビルの会議室において、本件契約に基づく補償金の返還方法について話し合いをし、浅田は、被告藤井に対し、分割弁済を求めた。
被告会社は、平成25年9月30日到達の内容証明郵便により、原告に対して、本件契約に基づいて保証金として支払った1千万円について、当初から弁済する意思も資力もないにもかかわらず、それがあるかのように装ってその旨被告藤井を誤信させだまし取ったとして、その返還を求める通知をした。
また、被告会社は、平成25年10月31日、東京地方裁判所の仮差押え決定により、上記一千万円の保証金返還請求権を請求債権として、原告の預金債権を仮に差し押さえた。
契約締結
平成23年12月16日
一条目的 原告と被告会社は、vatroni FPGAボード販売のために密に協力し合う。原告と被告会社は、共同で本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓を行う。
二条役割分担 原告は、被告会社の本件製品の技術理解に対するサポーとを行う。被告会社は、本件製品のアプリケーション開発を優先的に行い、原告はそれに際して被告会社のサポートを行う。原告は、被告会社を本件製品のソフトウェア・サービスなどを優先的に行うぱーとなーとする。
三条報酬。原告は、被告会社と本件製品販売によって得られる祖利益を以下のように分配する。祖利益は売値から本件製品の仕入れ代金を引いたものとする。
販売業者 15%
被告会社 25%
原告 60%
四条 保証金 被告会社は、原告とのVatroni FPGAボード教務を開始するにあたり、一千万円の保証金を原告に収める。内金の300万円は平成23年11月29日に受領済みである。
原告は、被告会社から預かった保証金を以下のように分割返済する。
平成24年6月30日 5000000円
平成24年9月30日 2500000円
平成24年12月31日 2500000円
五条 保証金返還に対する罰則 原告は、被告会社への返還が遅滞した場合は、返還時に年利1%の金利を付して返還する。
被告会社は、原告に対して、本件契約書4条の保証金として、平成23年11月29日に3000000円、同年12月19日に7000000円を支払ったが、原告は、上記保証金を被告会社に返済していない。
平成24年9月25日 新丸ビルの会議室において、本件契約に基づく補償金の返還方法について話し合いをし、浅田は、被告藤井に対し、分割弁済を求めた。
被告会社は、平成25年9月30日到達の内容証明郵便により、原告に対して、本件契約に基づいて保証金として支払った1千万円について、当初から弁済する意思も資力もないにもかかわらず、それがあるかのように装ってその旨被告藤井を誤信させだまし取ったとして、その返還を求める通知をした。
また、被告会社は、平成25年10月31日、東京地方裁判所の仮差押え決定により、上記一千万円の保証金返還請求権を請求債権として、原告の預金債権を仮に差し押さえた。
ここは特にコメントなし。
以下、争点が論じられているが、登場人物・組織名・モノの動きについての概略図を示す。
1 争点1 藤井が画像圧縮技術及び暗号化技を詐取したか。
(1) 前提事実によると、①浅田は、米軍向けに耐放射線チップの設計をしていたという米国人のジェイソンと共同出資して原告を設立し、ジェイソンが開発した画像ソフトウェア及び暗号化ソフトウェアを使ったエンドユーザー向け動画エンコーダーを販売することを企画したこと、②コンピューターのハードウェア及びソフトウェアの開発及び販売等を業とする被告会社を設立して経営していた被告藤井は平成23年5月ごろ、学生時代から友人関係にあった浅田から、米国のFBIに保護されたことのある軍事技術者としてジェイソンを紹介され、ジェイソンとの間で電子メール等のやりとりをするようになり、原告が企画している業務の内容に関心を抱いたこと、③原告と被告会社は、同年12月16日、 本件契約を取り交わし、共同で製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓を行うこと、原告は、被告会社の本件製品の技術理解に関するサポートを行い、被告会社は、本件製品のアプリケーション開発を優先的に行い、原告はそれに際して被告会社のサポートを行うことが合意されたこと、④被告会社の従業員である被告中山は、平成24年1月30日、原告の従業員である小林に対し、本件製品の販売のため、その性能と品質を明らかにする資料の作成を求め、同年5月16日には、被告藤井が紹介したファンワードに対する本件製品のデモンストレーションか行われたが、結局、本件製品についての取引が成立することはなかったとの各事実を認めることができる。
(1) 前提事実によると、①浅田は、米軍向けに耐放射線チップの設計をしていたという米国人のジェイソンと共同出資して原告を設立し、ジェイソンが開発した画像ソフトウェア及び暗号化ソフトウェアを使ったエンドユーザー向け動画エンコーダーを販売することを企画したこと、②コンピューターのハードウェア及びソフトウェアの開発及び販売等を業とする被告会社を設立して経営していた被告藤井は平成23年5月ごろ、学生時代から友人関係にあった浅田から、米国のFBIに保護されたことのある軍事技術者としてジェイソンを紹介され、ジェイソンとの間で電子メール等のやりとりをするようになり、原告が企画している業務の内容に関心を抱いたこと、③原告と被告会社は、同年12月16日、 本件契約を取り交わし、共同で製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓を行うこと、原告は、被告会社の本件製品の技術理解に関するサポートを行い、被告会社は、本件製品のアプリケーション開発を優先的に行い、原告はそれに際して被告会社のサポートを行うことが合意されたこと、④被告会社の従業員である被告中山は、平成24年1月30日、原告の従業員である小林に対し、本件製品の販売のため、その性能と品質を明らかにする資料の作成を求め、同年5月16日には、被告藤井が紹介したファンワードに対する本件製品のデモンストレーションか行われたが、結局、本件製品についての取引が成立することはなかったとの各事実を認めることができる。
前記事の契約書では伺えなかった要素として、『ファンワード』という名称が出てくる。状況的には、深田氏の会社の商品である Vatroni FPGA の見込み客ということになると思う。そして、この商談は失敗した。また、この件しか登場しないところを見ると、藤井氏側が関与した商談はたったこれ一件であったように伺える。
(2) 以上の前提によると、被告藤井は、浅田から原告との業務提携を持ちかけられ、本件製品に書き込まれているという画像圧縮ソフトウェア及び暗号化ソフトウェアやこれらのソフトウェアに係る技術に関心を抱いたということができ、また、画像圧縮ソフトウェアについてはは、FТPサーバーかソースコードをダウンロードするようにジェイソンから教えられ、被告藤井がこれを自らのパソコンにダウンロードしたこと、被告藤井は、ダウンロードしたソースコードをコンピューターで実行かのな形式に返還することができない、いわゆるコンパイルすることができないとして、原因と考えられたファイルの送付をジェイソンに依頼しこれを受領したが、コンパイルできたか否かについて返事をしていない 。
しかしながら本件契約によって被告会社が負った行は、本件製品のアプリケーション開発と本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓であるところ、本件契約後被告藤井や被告中山と小林との間で交わされた電子メールを見ても、被告藤井画像圧縮ソフトウェア及び暗号化ソフトのソースコードの開示を受けたことを前提とする具体的なやりとりはなく、もっぱら本件製品の販売に関する会話に終始していたというべきである。
また、原告が画像圧縮ソフトウェアを詐取されたと主張する証拠は、原告代表者本人尋問によっても、被告藤井が懇意にしているファンワードが従前よりも画像の品質が改良されたエンコーダーを使ったサービスをしていること、ジェイソンが米国政府から連絡を受け、中国の動画誘導型ミサイルに原告の持つ高速エンコーダーの技術が使われていないかとの問い合わせを受けたというのにとどまり、ファンワードのサービスや中国人民解放軍の動画誘導型ミサイルに使われているという画像圧縮ソフトウェアと、原告の画像圧縮ソフトウェアの類似性を具体的に検討した証拠等、両者が同一であると認めるに足りる的確な証拠は提出されていない。また、原告は、被告会社やその関連会社が使用していると いう画像圧縮ソフトウェアを使って利益を得ていると主張するが、被告会社やその関連会社が使用しているという画像圧縮ソフトウェアと原告の画像圧縮ソフトウェアが同一であると認めるに足りる的確な証拠も提出されていない。
原告は、ジェイソンが被告藤井に対して暗号化ソフトウェアのソースコードが記録されたUSBメモリーを渡した旨主張し、被告藤井がジェイソンに対して暗号化ソフトウェアのシュミレーション結果を報告したことを同首長の根拠としているが、この点についてのジェイソン本人の供述は証拠として提出されておらず、同シュミレーション結果は、被告藤井が作成したというべきである。
そうだとすると、被告藤井が、画像圧縮ソフトウェアのソースコードのコンパイルに成功し、あるいは、USBメモリーに記録された暗号化ソフトウェアのソースコードを受領して、被告会社または米国もしくは中国の関連会社においてこれらのソースコードを使った製品の販売やサービスの提供により利益を得ていると認めるに足りる的確な証拠があるということもできない。
そうすると、被告藤井が上記のような目的をもっていたということはできず、被告藤井が原告から画像圧縮技術帯暗号化技術を詐取したということはできない。
しかしながら本件契約によって被告会社が負った行は、本件製品のアプリケーション開発と本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓であるところ、本件契約後被告藤井や被告中山と小林との間で交わされた電子メールを見ても、被告藤井画像圧縮ソフトウェア及び暗号化ソフトのソースコードの開示を受けたことを前提とする具体的なやりとりはなく、もっぱら本件製品の販売に関する会話に終始していたというべきである。
また、原告が画像圧縮ソフトウェアを詐取されたと主張する証拠は、原告代表者本人尋問によっても、被告藤井が懇意にしているファンワードが従前よりも画像の品質が改良されたエンコーダーを使ったサービスをしていること、ジェイソンが米国政府から連絡を受け、中国の動画誘導型ミサイルに原告の持つ高速エンコーダーの技術が使われていないかとの問い合わせを受けたというのにとどまり、ファンワードのサービスや中国人民解放軍の動画誘導型ミサイルに使われているという画像圧縮ソフトウェアと、原告の画像圧縮ソフトウェアの類似性を具体的に検討した証拠等、両者が同一であると認めるに足りる的確な証拠は提出されていない。また、原告は、被告会社やその関連会社が使用していると いう画像圧縮ソフトウェアを使って利益を得ていると主張するが、被告会社やその関連会社が使用しているという画像圧縮ソフトウェアと原告の画像圧縮ソフトウェアが同一であると認めるに足りる的確な証拠も提出されていない。
原告は、ジェイソンが被告藤井に対して暗号化ソフトウェアのソースコードが記録されたUSBメモリーを渡した旨主張し、被告藤井がジェイソンに対して暗号化ソフトウェアのシュミレーション結果を報告したことを同首長の根拠としているが、この点についてのジェイソン本人の供述は証拠として提出されておらず、同シュミレーション結果は、被告藤井が作成したというべきである。
そうだとすると、被告藤井が、画像圧縮ソフトウェアのソースコードのコンパイルに成功し、あるいは、USBメモリーに記録された暗号化ソフトウェアのソースコードを受領して、被告会社または米国もしくは中国の関連会社においてこれらのソースコードを使った製品の販売やサービスの提供により利益を得ていると認めるに足りる的確な証拠があるということもできない。
そうすると、被告藤井が上記のような目的をもっていたということはできず、被告藤井が原告から画像圧縮技術帯暗号化技術を詐取したということはできない。
前記事では、 Vatroni FPGA の設計資産全体を藤井氏側に渡したように書いたが、本裁判では『本件製品に書き込まれているという画像圧縮ソフトウェア及び暗号化ソフトウェア』を渡したと原告(浅田=深田萌絵)は主張したものの、結論的にはこれらを『詐取したということはできない』としている。
ここで気になるのは、契約書の第二条には、藤井氏側が「本製品のアプリケーション開発を優先的に行い」とあるにも関わらず、アプリケーション開発を行うに必要な環境を渡していないように見えること。
⒊ 争点(⒊) 被告会社の債務不履行責任
本件契約は、原告と被告会社が本件製品の販売のために密に協力して共同で本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓をを行うことを目的とするものでり、原告と被告が受け取る報酬は、本件製品の販売によって得られる駅を分配するというものであった。本件契約において、被告会社は、役割分担として本件製品のアプリケーション開発を優先的行うとされたが、本件契約にその具体的内容や履行次期については記載されておらず、本件契約後に交わされた被告藤井や被告中山と小林電子メールの内容を見ても、もっぱら本件製品の販売に関する会話に終始していたというべきである。そして、その後、本件契約において原告が被告会社に対して分割して返還するとされた保証金一 千万円の1回目の返済期限(返済額は500万円)である平成24年6月30日が経過し、同年9月25日、浅田と被告藤井との間において保証金の返還方法について話し合いがされるなど、原告が本件契約に基づいて保証金の返還をしないことが原告と被告との間で問題になり、両者の間の信頼関係は失われたというべきである。
以上の事実関係によると、被告会社が行うべきとされた本件製品のアプリケーション開発の具体的内容や履行次期については明確な合意があったということはできず、被告会社に債務不履行責任があるということはできない。
また、げんこくは、被告会社の債務不履行によって原告が得ることができなかった売上及び利益は、本件製品のライセンス料相当額である2千万円を下回らないとしゅちょうするが、本件製品が販売に至らなかったことが、被告会社において本件製品のアプリケーション開発を行わなかったことによるものであると認めるに足りる的確な証拠はなく、この点においても、原告の主張を採用すことはできない。
本件契約は、原告と被告会社が本件製品の販売のために密に協力して共同で本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓をを行うことを目的とするものでり、原告と被告が受け取る報酬は、本件製品の販売によって得られる駅を分配するというものであった。本件契約において、被告会社は、役割分担として本件製品のアプリケーション開発を優先的行うとされたが、本件契約にその具体的内容や履行次期については記載されておらず、本件契約後に交わされた被告藤井や被告中山と小林電子メールの内容を見ても、もっぱら本件製品の販売に関する会話に終始していたというべきである。そして、その後、本件契約において原告が被告会社に対して分割して返還するとされた保証金一 千万円の1回目の返済期限(返済額は500万円)である平成24年6月30日が経過し、同年9月25日、浅田と被告藤井との間において保証金の返還方法について話し合いがされるなど、原告が本件契約に基づいて保証金の返還をしないことが原告と被告との間で問題になり、両者の間の信頼関係は失われたというべきである。
以上の事実関係によると、被告会社が行うべきとされた本件製品のアプリケーション開発の具体的内容や履行次期については明確な合意があったということはできず、被告会社に債務不履行責任があるということはできない。
また、げんこくは、被告会社の債務不履行によって原告が得ることができなかった売上及び利益は、本件製品のライセンス料相当額である2千万円を下回らないとしゅちょうするが、本件製品が販売に至らなかったことが、被告会社において本件製品のアプリケーション開発を行わなかったことによるものであると認めるに足りる的確な証拠はなく、この点においても、原告の主張を採用すことはできない。
判決文の事実認定としても、『もっぱら本件製品の販売に関する会話に終始していたというべき』とされている。その上で、アプリ開発について明確な合意があったとはいうことはできないので、それをしなかったとしても債務不履行には当たらないし、事業機会を逸する原因になったとも言えないと。そりゃそうですね。
従って、次の結論に至ると。
4 結論
以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文の通り判決する。
東京地裁民事31部 永谷典雄
以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文の通り判決する。
東京地裁民事31部 永谷典雄
判決に特に不審点は感じません。
気づいた点を整理すると以下の通り。
(A)商談実績が1件は少なすぎる。モノの素性が悪いのか、または営業の熱意がなかったのか…。
(B)契約書には、藤井氏側が「本製品のアプリケーション開発を優先的に行い」とあるにも関わらず、深田氏側は Vatroni FPGA の全体を開示していなさそうなので、アプリ開発は最初から不可能だった。あるいは契約書の文言にも関わらず双方ともやる気がなかったように見える。
(C)「アプリケーション」という用語は多くの場合は、アプリケーションソフト(=PC用のソフトウェア的意味合い)を指すが、稀に英単語の意味のように《application:応用, 利用; 利用法》で用いることがある。即ち、マーケティング活動に近い意味になる。本件の『AIを用いた動画解析』の場合は、監視カメラ系は当然のこととして、その他に例えば職場に設置して優秀な社員が優秀である理由を動作から分析するとか、育児の家庭に設置して幼児が危ないことをしそうであることを検知してアラーム鳴らすとか、道路に設置してやばそうな挙動をしてる車両を検知してパトカーを出動させるとか…そういう応用場面を開拓すること。この場合は、 Vatroni FPGA の「ソースコード」を知らなくてもできる。しかしながら、契約書の「本製品のアプリケーション開発」が、その意味であるかはわからない。
(D)前記B、C項の真相に関わらず、深田氏側が Vatroni FPGA の構成要素である『画像圧縮ソフト』と『暗号化ソフト』のソースコードのみを藤井氏側に開示したのは不可解。推察するに、これは『アプリケーション開発』にはなんら役には立たず、主として藤井氏側の技術的興味の元に性能評価のために開示されたのだと思うが、ここがトラブルの一因になっている。
(E)前項Dに関して『画像圧縮ソフト』と『暗号化ソフト』は、実は Vatroni FPGA の核心技術でもなんでもなく、そうであるがゆえに藤井氏側にこれらのみが(気楽に)ソースコード開示され、その結果として裁判に際して深田氏側の法廷戦術の小道具にされている可能性も考えられる。なぜならば、深田氏側のこの製品は「映像から3Dデータを生成し、そこからオブジェクト(物体とか)を抽出し、認識する処理」が主要機能であって、圧縮も暗号化も付随的機能でしかないからである。
(F)契約書があまりに杜撰すぎる。判決に『被告会社が行うべきとされた本件製品のアプリケーション開発の具体的内容や履行次期については明確な合意があったということはできず』とあるように、また同様に前記事の8項で指摘したように、藤井氏側の責任範囲、期待水準あるいはその評価方法が規定されていないために、保証金の返還を巡ってトラブルになったように見える。
この記事の結論。
(1)『画像圧縮ソフト』と『暗号化ソフト』は核心技術ですか? 実はどうでもいいのでは?
(2)こんないい加減な契約書で話を進めたら揉めるのも当然ですよね、社長さん達。
さらにもうひと言。
この一連の『保証金返還訴訟』事案の他に、「国籍」「血縁」とかを問題視してる動きもあるようですけど、それとこれは全く別次元の話ですから峻別した方がよろしいかと思います。意図的にごっちゃにしてるのは深田さんだとは承知してますが…。
(追記)ご本人からレスをいただきましたので、紹介しておきます。
検証記事全て確認しました。誠にありがとうございます。全て、非常に的確で正しい分析をされています。ZF様の技術力と分析力には脱帽です。
— 藤井一良 (@fujikazu7) 2019年7月14日
ザルで詰めが甘い契約書で契約したのは、私が未熟でした。大変耳が痛いです。申し訳ございません。当時は、深田氏から資金繰りが厳しいからお金を貸してくれというのが発端だったので、元旦那様がお世話になったということもあり、契約書の内容をあまり精査せずにサインしました。今は後悔しています。
— 藤井一良 (@fujikazu7) 2019年7月14日
(追記2)
これまで、深田萌絵さんの文面で語られている話の技術面での正確さ(あるいは怪しさ)、契約書からわかること、判決文からわかること、と順に検証を進めてきた。契約書と判決文に依拠したのは、係争中の一方に肩入れしないためである。ただ、それだと当事者の認識や主張と差分が生じる。以下の記事には、藤井氏の「陳述」がアップされているので、その差分がどこにあるか見ていただければと思う。例えば、契約に至った経緯が最初から金銭支援の要請だったそうだ。
【裁判資料公開】ピンクスパイガー深田萌絵(浅田麻衣子)が裁判から逃げ回る理由と「藤井一良事件」の真実に迫る
https://www.日本国士.com/1107/
http://archive.today/Z8qwn(アーカイブ)
https://www.日本国士.com/1107/
http://archive.today/Z8qwn(アーカイブ)
以上。
資料を読むだけでも何時間、いや何日もかからないですか!?
コメントはできるのだと気づいたのですが直接のご連絡はできないのですよね?
あれ? これは当事者の国籍や血縁がどうだろうと、裁判の争点には関係ない、ということですか?
当事者の国籍や血縁に対して何か疑惑があってもそれは県所の対象外ですか?
事実認定されたのはあくまで契約締結の部分だけで、「ジェイソンが被告にUSBメモリを渡した」というのは原告がそう主張している過ぎない(だからジェイソン本人の「渡した」という供述証拠が提出されていないことにツッコミが入っている)…という解釈をしていたのですが。│ω・`)