ZF

メインはtwitterで、ここは書庫。
twitter ID : @ZF_phantom

安倍改革と日本の責任

2015年07月24日 | 安保・国益



第二次安倍政権での政治改革は明治維新、戦後の再出発に続く近代日本史における3度目の大転換点になると思う。大きなポイントは、安保法制や武器輸出等を活用して国際的政治力を発揮する国として脱皮しようとしていること。平和主義者がどう言おうが、国家間の力学の真実は軍事力である。

戦後の日本について一部の者は「アメリカの属国」などと言うが、あながち的外れでもない。アメリカが日本に一方的に安全保障サービスを提供しているのだから、当然ながら見返り(=対価)が必要になる。それは個人間でも企業間でも国家間でも同じように、ある種の取引である。タダではない。

安全保障面において戦後の日本が完全にアメリカの庇護国であった立場から、今後は持ちつ持たれつの立場に変わろうとしている。有事の米艦防護というのもあり得るが、それよりも日米同盟軍でASEAN諸国や台湾などに安全保障サービスを提供する方向に進んでいるというのがこれまでとの最大の違い。

それを具現化する政策が安保法制であり武器輸出解禁である。フィリピンとの合同軍事訓練、同じくフィリピンやベトナムに対する巡視船供与、豪州との潜水艦商談、インドへの飛行艇売却など、全てその路線に乗っている。これに連動して日本の国際的発言力も増していくことになる。

安全保障サービスに基づく日本の国際的発言力が増していくと、日本の経済成長にも寄与する。例えばASEANのどこかの国で高速鉄道計画があって日欧中が受注競合になった場合、安全保障サービスを提供する日本が有利になり、軍事的脅威である中国が不利になるのは当然のこと。

スマホやそれ以下の消費財はどの国から何を買ってもどうということはないが、高速鉄道、水道システム、電力システム、郵便などのインフラや軍事兵器は国家を支える根幹となるものだから、それらの商談は安全保障面での友好国が有利になる。安保は実は軍需だけでなく民需でも商談を有利にする。

戦後の日本は、日米同盟のことも普段は忘れて一国平和主義に浸っていたが、今後はそうはいかなくなる。日本政府を支える有権者として自国のみではなく地域の安全保障をどう考えるか、そしてそれとセットでどうやってビジネスを回していくか、そういう思考法が求められるようになる。

それと同時に日本は騒がしくなる(既になってるが)。各国が覇権国アメリカ国内でロビー活動や工作を展開しているのと同様に、影響力を増す日本での外国勢力の活動はもっと増える。世論によって有事に自衛隊がどう動くか操作できるのだから当然だ。敵性国家に操られた勢力も必死になる。

今後はもう夢想的平和主義は通用しない。世界とは言わないが、日本の近隣地域においていかなる戦乱も生じさせないための責任の一部が日本の肩に乗り始めている。さらにその責任の一端は我々有権者にかかっている。イデオロギー主導ではなく、事実に即して現実的判断ができるようになる必要がある。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 《南京事件》グラフで見る城... | トップ | 米中金融大戦争 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

安保・国益」カテゴリの最新記事