資本主義のルールなき暴走に歯止めを

環境破壊、投機金融など、資本主義の暴走が目立ちます。ルールなき暴走に歯止めをかけなければ・・・。

NHK日曜討論・後期高齢者医療問題・年金財源問題

2008-05-22 02:46:20 | Weblog
■NHK解説委員 景山日出夫様
   同     飯野奈津子様
*5月18日付け日曜討論、
*「おはようコラム『高齢者医療見直しで・・・』」-景山日出夫氏
*時事公論『年金試算と制度改革の課題』   ―飯野奈津子氏   に関連して

5月18日付けの日曜討論視聴しました。また、お二人の上記投稿論文、読ませていただきました。その上で、下記の質問、意見をお届けします。

1.先ず第一に、日曜討論はなぜ、自民党、民主党の幹事長のみで行われたのでしょうか。これでは、二党以外の政党の意見が、視聴者には届きません。また、二党以外の政党支持者の意見も、番組に反映されません。
多分お答えは、二大政党が、他の少数政党の勢力と圧倒的に差があり、二大政党の幹事長の討論で、現時点での民意はほぼ代表されていると考えたからだとお答えになるかと思います。もしそうであれば、根本的に民主主義についての理解が欠けていると言わなければなりません。
「民主主義=多数決」という図式でしか民主主義を捉えておられない事の反映です。これは、最大多数の最大幸福という、ベンサムの理論に基礎をおいた、古典的論拠であり、21世紀の論拠としては、時代遅れと言わなければなりません。
ナチスが政権を奪取したとき、あるいは大政翼賛会が組織された時、それらに反対した人々の意見や人格はどのような扱いを受けたでしょうか。その時の多数派と少数派との意見のどちらが正しく、どちらが間違っていたのでしょうか。歴史の審判は明らかです。しかも、その時少数意見は圧殺され、抹殺されたのです。
ここから出てくる結論は「民主主義=少数意見の尊重」と言うことであり、これが第二次世界大戦を防ぎ得なかった、文明社会の結論だと言わねばなりません。NHKをはじめ、報道機関の戦後の反省は、ここに基礎をおいているのではないでしょうか。
百歩譲って、一般マスコミは、スポンサーの意向、及び視聴率に顧慮しなければならないと言う側面があるとしても、NHKには、それらからフリーの立場を保障すると言うのが公共放送のあり方であり、日曜討論はその立場で運営されなければなりません。
二大政党制も、その立場から見た時、明らかに間違いであり、今、ようやく各方面から、見直しの意見が出始めているのは、正しい方向への回帰といえます。

2.それでは、何も決らず、一定の議論の後、多数決に従うというプロセスを取る以外道はないではないかとの意見があるでしょう。しかし、その前提には、少数意見が徹底的に尊重されているという条件が必要です。
しかし、現実の政治の世界では、二大政党による多数決の強行と、物理的抵抗の応酬であり、論議を尽くして、より正しい結論に接近するというプロセスとは程遠いのが現状です。政治の世界がそうであれば、より一層、言論の世界では、少数意見を尊重し、論議を尽くして正しい結論に達するための道筋を見出さなければなりません。
その立場より、現在のマスコミの現状をみますと、前述の厳しい制約条件があるにもかかわらず、民間報道機関の方が、より民意を反映している事例も数多く存在します。
NHK解説委員会の厳しい、自己点検を求めたいと思います。

3.上記で指摘したNHKの報道姿勢は、日曜討論の討議の進め方や、お二人の主張しておられる論考にも、反映しています。
高齢者医療をどうするか。持続的で安定的な年金制度をどう再構築するかは、まさに国民的課題です。しかし、国会討論でも、日曜討論でも、お二人の解説的論考からも、国民を納得させる議論は見えてきません。
現在の二大政党や、お二人の論説姿勢の示す解決の道筋と、国民の世論の示す解決の道筋とは、大きく食い違っています。

雑誌「世界」3月号掲載の、山口二郎氏と宮本太郎氏による「日本人はどのような社会経済システムを望んでいるか」との論文の中に示されているアンケート結果によると、
日本の国家のあり方として、
アメリカのような競争と効率を重視した社会を望むものは、(わずかに) 6.7%。
北欧のような福祉を重視した社会を望むものは          58.4%、
かつての日本ような終身雇用を重視した社会を望むものは     31.5%
社会保障の財源として
    消費税の引き上げは止むを得ない                17.5%
    消費税ではなく、法人税や裕福な人や企業に負担させるべき    35.4%
    行財政改革を進めるなど国民の負担を増やす以外の方法をとるべき 44,0%
となっています。
ここでは、小泉、安倍政権の目指した競争と効率を重視した構造改革路線は明確に否定されています。
また、社会保障の財源として、消費税の引き上げは止むを得ないとしたものは、17.5%にとどまっています。行革等、無駄を省くことをあげているのは44.0%であり、民主党の主張をある程度裏付けています。しかし、消費税ではなく、法人税や所得税など裕福な人や企業に負担させるべきとしたものは、35.4%に達しているにも拘わらず、二大政党の主張の中にも、お二人の論旨のなかにも入っていません。

4.更に、朝日新聞の世論調査によると、憲法9条は変えない方が良いは、66%に達しており、変える方が良い23%の3倍近くに達しています。これは間接的な世論調査ですが、軍備増強は望ましくないとの判断の意思表示であると受け止められると思います。5月11日(日)のANNテレビのサンデープロジェクトでは、四川省地震で大勢の被害を出した学校倒壊に関連して、日本でも、阪神・淡路大震災の教訓があるにもかかわらず、小中学校の耐震化率は都道府県による差があるが、おおよそ5割前後であることが示されました。国民の生命、財産、福祉を守り、充実させるのに、1兆乃至は2兆円~1千億乃至は2千億円を、軍備増強に回すべきか、医療、福祉、教育に回すべきか、是非NHKでもアンケート調査を実施してほしいと思います。恐らく、国民の多くは、医療、福祉、教育の充実の方を選ぶと思われます。
さらに、アメリカ、ロシア、中国などの軍事大国に、現在五位に当たるとされる同じく軍事大国日本からの、平和憲法の世界化を目指す提案を行うべきだとの主張につながります。
これらの主張も、二大政党の政策や、お二人の論考の中からは、すっぽりと抜け落ちています。ここでは、二大政党の主張や、お二人の解説委員と、国民の主張との間に明確なねじれが存在しています。
それらの意見は、少数政党によって、一部主張されています。このことからも、二大政党のみの「与野党討論」が国民の民意の実態とかけ離れていることを如実に示しています。

5.最後に、今後膨大な軍事予算を必要すると予測される「宇宙基本法」が、衆参それぞれわずか2時間の委員会審議で、5月21日成立し、憲法9条を実質的に骨抜きにする可能性のある、自衛隊海外派兵恒久法も、二大政党の合意を目指しつつ、進行しようとしています。これら、今後国民生活に大きな影響を与える法案についても、国会の場での審議は極めて不十分です。公共放送であるNHKが、他の報道機関に先んじて報道すべきだと思います。

以上の諸点について、お二人のご見解を承りたいと思います。なお、以上の私の意見と、お二人からのご回答は、私のブログで公開し、他に採択してくれるメデイアがあれば、投稿致したいと考えております。なお、お二人のご回答の部分の公開については、お二人のご意向を入れて、検討したいと考えております。