介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

年金問題の正しい考え方(中公新書)

2007-06-30 11:14:11 | 政治社会
6月25日刊行

サブタイトルに
「福祉国家は持続可能か」とある。
著者は、盛山和夫(せいやま かずお)で
東大大学院の教授。
専攻は社会学で、年金問題は専門ではないという。

文献を見ると
このところ年金政策について刊行された
基本的な著作が網羅されている。

今話題の年金記録問題が表面化する前に脱稿している。

公的年金の問題は、記録の問題ももちろん大きいが
制度の持続が可能か という点にある。

この本では、
基本的な制度の解説を含め、政府や専門の学者の分析・提案
を点検して、何が問題なのかを整理している。
それでもすらすらとは読めないが、専門外というだけあって
これまでの考え方にとらわれずにかなり詳しい情報が得られる。

著者も指摘するように、今日の年金政策の問題は
1973年(昭和48年)の年金改正に根源がある。
保険料負担に比較して大幅な給付増を約束したからである。
世間は、このとき歓呼してこの案を迎えた。

著者はこの先というか、なぜこのときの改正が成立してしまったのか?
については深く触れていない。
昨日もこのブログで触れましたが
日本では政治家が深く社会政策を理解して政府を追及したり
対案を提示することはない。
ドイツにおけるたび重なる年金制度の改革やアメリカの支給開始年齢の
67歳引き上げの法律のことを思い出しても
欧米では年金政策の基本は政治家が論議して決めている。

かって少し「かばんを持っていた」ことのある伊部英男さんは
現役のとき年金局長をされていたが
・自分の後ろには誰もいない(大臣、総理は年金の本当のことは理解していない)
 という責任の重さ
・野党では八木一男(当時の社会党)という議員が本質を攻めてきたので
 大変だった(伊部さんは、晩年腎臓透析をしていたが、その原因は国会での
八木議員の質問だ・・とこれは半分冗談、半分本音で話されていた)

最近は、民主党にも、資料にもとずいて鋭く質問する方が2~3いるようですが
「不正追求」や「職務怠慢」という類の課題への追求のようだ。
政策の根幹に、理路整然と迫るという質問はないし、したがってというか、
答弁も「暖簾に腕押し」となるわけだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「社会」に疎いエリート | トップ | 一見の客お断り »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治社会」カテゴリの最新記事