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スウェーデンの年金政策の歴史から学ぶ

2008-02-07 10:51:23 |  年金
【年金制度は長い歴史の積み重ね】
日本では、記録の問題から、年金の問題が内政上の大きな課題になっています。

平均寿命80年という時代ですから、退職後長い間年金で生活するわけなので、この制度がぐらつくと国民生活の安心感もありません。

私は、年金政策には直接関与していませんが、すでに66歳で、年金受給者(厚生年金、国家公務員共済、私学学校共済)でもあります。まだ、働いているので、その多くは支給停止中ですが。

「年金」のカテゴリの前回の記事(1/28)では、
年金問題の専門誌『年金と経済』の最新号を紹介しました。
その中で、
宇野 裕  (厚生労働省→日本社会事業大学専務理事)
森 浩太郎 (厚生労働省→財務省主計局 主計企画官)
*両氏とも、かって、在スウェーデンの日本大使館勤務経験あり。
による、
「スウェーデンの年金制度の歴史」p144-p164
を紹介しました。

【政治の指導力による年金政策の歴史】
この論文は、日本の年金制度を熟知している筆者が、スウェーデンの年金政策の発展のあとをたどっています。

スウェーデンの年金は、1913年創設ですから、実に100年近い歴史がありますね。
この制度は、すでにすべての国民を対象としていました。
日本の方は、厚生年金ができたのは戦争中の昭和17年(1942)ですし、戦争によってこのできたばかりの制度が崩壊寸前となって、昭和29年(1954)には厚生年金の大幅な改正がありました。すべての国民を対象とする国民年金ができたのは1961年です。
 (日本)2008-1961=47年の歴史 VS (スウェーデン)2008-1913=94年。

【年金の内容を決める3つの要素】
ここから、ちょっと技術的になるのですが、
日本では、政治家でも「年金額は多く、保険料は少なく」という程度の議論が多いです。

ですが、80年の生涯を国家が保証するシステムを作るのにそんな単純な設計で話が進むわけではありませんね。

スウェーデンの年金の「給付が良い。全国民に保証されている」
というだけではなく、その政策決定の理屈と、政策の決める手順を学ぶ必要があります。

・A1 保険料をずっと積み立てておくか、
 A2 毎年はいる保険料をその年の給付にまわすか
・B1 年金額を全員同じ額とするのか、
 B2 若いときの賃金などに応じて上乗せするのか
・経済変動の絶えて長い期間の年金を保証するのに
 C1 約束した給付額を変えないか(つまり保険料で調整する)
 C2 すでに出した保険料を変えないか(つまり年金額が変動する)

この3つの要素を計算に入れて設計し、変更する必要があります。

【合理的な設計による政策論】
スウェーデンの100年近くの政策のあとを見ると、上記のような要因を理解し、代案を統計で確かめながら発展させてきました。
日本では、選挙向けに「高い年金を保証します」
というだけですし、国民もそれを頼るという嫌いがありますね。
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