介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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1525 ストックホルム大学社会福祉学科は国立です

2008-09-07 06:19:12 | 地球→ドイツブログ
【モデルとしての北欧】
 ドイツには「スウェーデン・モデル」という概念があります。実際にも、先に紹介した「両親手当」により父親の育児休暇取得をうながす政策は、ドイツがスウェーデンの制度を参考にスタートさせました。
 日本でもスウェーデンやデンマークなど北欧の福祉社会の紹介がされてきました。医療や福祉で心配のない社会・・多くの日本人が北欧を訪問し、高齢者の介護の分野などでは、認知症のグループホームなど実際上の影響も受けてきました。

 今日は、これまであまり紹介されてこなかったこと、ソーシャルワーク教育のことを考えてみます。

【日本では、社会福祉学は私学の仕事ですが・・】
 自分の母校を例に恐縮ですが、東大には社会福祉学部はおろか、社会福祉の学科は今日までありません。京大、東北大、九州大、ここ鹿児島大学。みんな、社会福祉学の専門コースはないです。
 東大のキャンパスを歩くと、法学部、経済学部、文学部が中心にあって、理学部、工学部、医学部と囲んでいる。農学部は隣のキャンパスに。学生は、これらの建物の群れをみて、学問には、いろんな分野がることを知ります。
 卒業して、大学の生協の書籍のコーナーをみたり、図書館をみると、「さすが東大」とも思いますが、医療・年金・介護・ソーシャルワークなど、自分がいま勉強している分野のものは置いてないことに気がつきます。
 東大のキャンパスには、そして、国立大学には、「社会福祉学」「ソーシャルワーク」「社会保障」などは一つの専門性ある分野として存在していません。経済学の先生で年金の研究をしていたりしますが、社会福祉学を専門とする先生、そして、学生、卒業生は当然のことながら一人もいないわけです。
 政府の審議会などでよく出てくる慶應義塾大学は日本の私学を代表する大学ですが、やはり社会福祉のコースはないですね。
 *近くなので、よくいく鹿児島大学の生協と図書館も同じ状況ですね。最近、大分大学などで、社会福祉学のコースができた。

【ストックホルム大学】
ストックホルム大学は、スウェーデンを代表する大学です。
4学部 80学科
学部と修士の学生が5万人、博士課程の学生が1,800人。スタッフは、5,200人。

財源の66%は、国庫から。外部の研究資金などで24%、
学生からの授業料は、10%です。

社会福祉学科 Department of Social Work は、
Faculty of Social Science 社会科学部 にあります。
私も、一度、この社会福祉学科のビルにいきました。

【修士課程の科目】
ウェブから、修士課程の科目を紹介します。講義は、すべて英語です。
○ 必修
・Social problems
・Social policy
・Professionals   専門職論
・Applied social research
・Social work
・修士論文

○ 選択
・Youth at risk
・Work and income
・Ageing
・Migrants, minorities
・vulnerable groups
・Social aspects of housing and urban renewal
・Alcohol and drugs
・The law of the social dimension in the European Union

【日本の方向は社会福祉教育を重視する北欧とは逆】
ストックホルム大学の社会福祉学科は、学生数1,200 スタッフは140人。
大事なことは、母体となった組織は、1921年に創設され、1964年に大学と位置づけられ、1977年に(国立の)ストックホルム大学に組み込まれたのです。

日本は、国立大学でさえ、「法人」ということになり、新しい学科の新設などは考えられませんね。「儲かる」という程度の意識で最近新設された私学の社会福祉学部では、定員割れが続いている。
この国には、「社会福祉」が公共性のある分野であるとの合意ができてない。


*写真は、奄美パーク前の海。徒然なる奄美の9月6日付記事から。


 
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