介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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ソーシャル・アジア

2007-07-27 10:22:24 | 中国
写真は、
『中国の社会保障改革と日本』
広井良典と沈潔の編集。
ミネルバ書房、2007年3月。
329ページ、4800円+税。

広井先生については、いまさらいうまでもなく
日本の社会保障研究を代表する一人です。
多くの本格的・また啓蒙的な本を出版されている。

このブログでも
ついこのあいだ(07/05)、江戸時代との関連で触れました。

この本は
中国との研究交流などによって得られた知見をまとめたもので
日本の研究者5人、中国の研究者7人により11章からなっている。

第1章は、広井先生が書いていて
『アジアにおける「持続可能な福祉社会」の構築』
サブタイトルが
ー中国・日本・アジアーとなっていて、本書の研究枠組みを
示している。

中国=共産主義・社会保障は無い(遅れている)
日本=資本主義・社会保障は発達

という単純な図式からは
この2つを比較するという発想は出てこない。

中国の最近の市場経済化
日本の最近の規制緩和&社会保障の空洞化というか不安定化
を念頭に
広く文明史的というか文化人類学的な視野も入れて考察すると
この両国を軸にしながら
アジア社会の社会保障・環境政策を統合的に考える意義がわかる。

このあたりの論法は
科学哲学・科学史を専攻し、厚生省(当時)において医療政策や障害者政策を
環境庁(当時)において環境政策に実際に携わったという広井先生の
独特の方法論がさえるところです。

私が本書を手にしたのは、
たまたま修士の学生に中国からの留学生がいて
その院生と話すために読もうという程度の動機でしたが
夏休みに入り本格的に読む始めると
なかなか重要な本であることがわかった。
第7章は医療政策について中国から千葉大学に留学した方が書いている。
この章を(前記留学生のテーマなので)第1章の次に読みましたが
日本の医療政策(薬剤、予防、医師供給などを含め)を
基礎的に考えるきっかけになる。

ここまで書いていたら
北海道から暑中見舞いが届き
この方は、いまは大学院生だが、
「昔(私から)広井先生の本を紹介された」と
書かれてあった。
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