介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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年金財政

2007-12-28 07:06:12 |  年金
【論点その2】
『日本の論点2008』の各項目を読んでいます。
第1回は、介護保険の2005年改正の評価でした。
その第2回は、年金財政です。

『日本の論点』は、
「論点ー61」として、「年金は、保険料方式か税方式か」
をあげ、
・西沢和彦(日本総合研究所主任研究員)によって「保険料方式は不幸のもとー
所得配分機能のある消費税を財源に」
・盛山和夫(東京大学大学院教授)によって「負担あってこその給付。
消費税が財源の税方式は社会の活力を奪う」
の2論文を掲載しています。
このあとに、「基礎知識」として、海外の年金制度をまとめている。
(3論文:p544-p555)

【消費税を是とする論調】
・保険料拠出原則を求めるには、(海外の制度のように)失業・育児・介護などの期間を参入する手当てが必要。
・国民年金の納付率は60%台であり、厚生年金の適用適用事業所の3割が未適用のまま。
・基礎年金額は、満額(40年間納付済み)でも月66000円。保険料は月14100円。
(実績:男性5万円台、女性4万円台)

【保険料方式を是とする論調】
・労働インセンティブが下がる
・納付逃れから加入意欲が減退し、年金制度が実質的に崩壊
・世代間対立の顕在化
・「保険料方式における税支援拡大化」(現行制度でも3分の1はすでに税を投入)

【権丈善一教授】
慶応義塾大学の権丈教授は、最近の『週刊東洋経済』(2007.12.29&2008.1.5)
で、社会保障制度を守るには消費税増のほかに選択肢はないとの意見を述べている。
(p144.権丈教授の著作はまだ読んでいないが、京極『社会保障と日本経済』では、年金関係の著作として推薦している。同書p114の注)

【問題の先送りをしない】
年金財政の問題は、日本では不思議な取り扱いだ。
前の年金法の改正によって、保険料の引き上げの仕組みはセットしたのに、税負担は、「現行の3分の1を2分の1にする」と法律で決めている。この方は、税法上の担保をしていない。つまり、将来の財源計算を無視して改正を行ったままなのに、そのことに触れる人はいない。
日本の政治は、甘いことは言うが、これに見合う辛いこと(保険料や税などの負担増)については、先送りできた。
財政計算を行い、不足分を示し、負担を求めるか、給付を削減(あるいは支給開始年齢を引き上げるか)するかを示すよりない。負担は求めず、給付も引き下げず、いずれ財政が枯渇してもそれはそのときというのでは公的なシステムはもたない。
アメリカでは、レーガン政権のときに、すでに年金の支給開始年齢を67歳に引き上げている
(2027年からと時間をかけて実施するが、ともかく法律は1983年とずいぶん前に決めている)
(ドイツも67歳への引き上げを法改正済み)

【国民的な論議】
こういう大問題については、与野党の意見が一致するまで議論する必要がある。
年金記録の問題は、この財政問題にも影響を及ぼすだろう。
年金財政については、年明けてからも政治の動向をフォローしたい。
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