介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第3098号 中国とヨーロッパの視点は日本より広い

2009-07-31 14:41:36 | 中国
夏休みは、会議や講義がないので、キャンパスは静かですし、自由時間が多いので私たちには貴重な時間ですね。

毎週金曜の3時限には、博士課程1年の陳さんと中国の社会保障政策を学ぶ時間にしました。
このブログの読者には、「社会福祉概論」でのTA(テーチング・アシスタント)としてご記憶の方も多いでしょう。学部1年生の講義の進行では大変助けてもらっています。

【第1回】
今日は、第1回なので、テキストの確認をしました。
写真の右側、『中国社会保障30年』を使います。中国語です。
北京、人民出版社刊。
2008年12月。
著者:鄭 功成

もちろん、私は、中国語を読めませんので、無謀ですが、この本は陳さんが博士論文の骨子として参照しているというので、2冊買ってもらい、私が1冊いただいたものです。

【詳しくは、陳さんのブログで】
詳しくは、陳さんが書いているブログをご覧いただくとして、私のブログでは、「中国の現在を学んで日本社会として考えたこと」を書くことにします。

社会保障制度
chenkunのブログ →こちらが、博士論文作成用のブログです。

【縦割りで狭い日本の「社会保障」】
日本では、社会福祉士国家試験の「社会保障論」に示されているように、
医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険、それに公的扶助などを加えたものが「社会保障」とされています。

中国の新しい概説書では、「社会保障」のタイトルの元に、
・住宅政策が一つの章となっている。(第6章)
・教育政策が説明されている(第7章の4)
・社会保障の主体に、民間部門を加えている。(第8章。民間の保険会社を第8章の3で扱っている)
という点などは、日本の「社会保障論」にない広い視点ですね。

【ヨーロッパでは・・】
写真の左側に、Social policyの代表的な教科書(イギリス)をあげています。
この詳しい話は別途しますが、今日のところで強調したいのは、この2冊とも、住宅や教育の章があることですね。
*アメリカのソーシャルワークの教科書が扱う範囲も日本の「社会福祉」よりはかなり広いです。

【マニフェストといっていますが・・】
各党の政策体系は網羅的で縦割りですね。
その基盤に思想がないです。
・雇用・教育・住宅といった社会性のある分野をしっかり公共的に整備して、そのうえに年金・医療サービス・介護などを公共的に支える・・
といった思想はないです。
・・教育や住宅のコストが高いことが日本社会の不安定要因であることを思想的・論理的に理解していませんね。
「いろいろやってあげますよ」というだけでは、政策とはいえませんね。
私は、日本の政党のこのような思考方法には、学問分野の縦割りが起因していると思います。最も自由であるべき学問(大学の学科編成)が縦割りのままです。

*今日、勉強会を始める前には、このような記事を書こうとは夢にも考えていませんでした。
「社会保障は日本のほうが進んでいる」というおごりが私の頭にあったことでしょう。
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6 コメント

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値段 ()
2009-07-31 15:19:17
 『中国社会保障制度30年』という本は、中国で66元を販売していますが、日本に輸入したら、値段が鰻登りに上がった。
おかげさまで・・ (古瀬)
2009-07-31 15:24:04
日本で
自分で
求めていたら
大変でした・・

勉強の第一歩はテキストを買う
ことなので
良いスタートがきれました・・
中学生の自由教室の件 (大学院生A)
2009-07-31 23:39:26
こんばんは。自由研究が進んでいるようですね。

先日の自由教室は大変お世話になりました。数学の先生に対しての、これまでのご指導への感謝とこれからもご指導いただけるようにとお話しをしたいと私個人は思っております。

学ぶ方の反省を踏まえてもう一度お願いしたいと思っております。よろしければ、連絡先を教えていただけないでしょうか?
比較研究の価値 (岩清水)
2009-08-01 10:36:20
縦割りの弊害を日々感じているのですが、
その弊害がマニフェストに及んでいるという視点で、
きちんと読んでみたいと思います。
非常に大切なことですね。
水曜日に (bonn1979)
2009-08-03 10:58:40
Aさん
コメントありがとうございます。

私は
N先生の電話をしりません。
Gayaでは知っていると思います。

今度の水曜日
相談しましょう。
思想の軸といったもの (bonn1979)
2009-08-03 11:02:43
岩清水さん
コメントありがとうございます。

マニフェスト
に関して
経済学からする批判がでていますね。
*池田信夫ブログなど。

イギリス労働党の場合は
ギデンス(社会学)の思想体系がベースにあったと思います。

テレビの討論を聞いていると
司会者の思想的な軸がないためか
わぁわぁいっているだけのようです。

それでも
各団体が
採点結果?のようなことを公表していますので昔よりは改善されたことは間違いないですね。

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