介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第4151号 高橋 泰:フランス人と日本人の高齢者医療と終末期の介護に対する考え方の違い

2011-01-21 06:22:28 | 医療
【フランス医療に関する専門家】

『健保連海外医療保障』(季刊。No.88、2010年12月。写真は表紙)に掲載されている「高橋 泰:フランス人と日本人の高齢者医療と終末期の介護に対する考え方の違い」(p.1-p.9)の要点を紹介します。
*高橋泰:国際医療福祉大学大学院教授(医学博士)
*『健保連海外医療保障』は、健康保険組合連合会 社会保障研究グループによって発行されています。本誌は、健保連のサイトには記載されておらず、価格の表示などもありません。

高橋先生は、フランス医療の現状に関しては日本を代表する研究者です。以下に、国際医療福祉大学のサイトから2つの例をあげます。今回のテーマに相当する内容に関してネットからで無料で読めるものを探しましたがずばりのものはありませんでした。

医療福祉チャンネル774

乃木坂スクール


【要旨】

冒頭の要旨部分を引用します。
「日本の介護の特徴は、過保護であり、残存能力を早期に低下させる。北欧やフランスでは、機能の低下した高齢者が自立できるような支援が、徹底的に行われる。また、「医療は、病気を治せるが、老化や老衰は治せない」という医療の限界を知り、高齢者に対しては、胃ろうなどの延命治療は行わなくなった。医療が手に及ばない段階で、看取りの専門家にバトンタッチを行い、彼ら彼女らが望む自然な死に方を是認する文化が社会の中に根付いている。フランスの医療提供制度は、日本に比べ、コストパフォーマンスが悪いにもかかわらず、自国の医療に対する満足度が日本よりかなり高いのは、フランス国民が医療の限界や過保護介護の怖さを知り、医療や介護と賢く付き合っているからではないかと思われる。」(p.1)


【論文の構成】

以下の12の節から構成されています。

1 日本の医療提供体制のコストパフォーマンスは世界一

2 フランスの急性期病院を訪れてみると

3 フランス人、特に医療職の労働観

4 人生は楽しむためにある

5 信じ難いバカンス中のフランスの医療

6 フランス人の医療観

7 嚥下障害の期間を左右する胃ろうやチューブの使用

8 20年前は、延命治療を積極的に行っていたフランス

9 人生晩年の大きな選択

10 今後日本に普及すると思われる人生晩年のライフスタイル

11 フランスにおける、Cure とCare の「線引き」

12 日本人は、医療にも介護にも過大な期待を抱き、不幸になっていることに気付くべきだ


【読後感】

フランスへ何度も訪問している専門家のわかりやすい説明です。
・日本では医療専門家の既得権のままに医療が行われている。
・日本では、社会制度が優先して、肝心の患者・高齢者の意向が汲まれていない。
・そのフランスも、20年前は延命医療が中心であり、今日では転換したという事実に勇気づけられます。

日本でも、高橋先生の講演を聞いたり、講義(テレビ・有料)を聞いた人が多いが、まだ社会意識として転換はしていない。ソーシャルワーク、宗教者などの発言があまりに弱い。
介護職の(意識の)先端部分に期待しています。
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2 コメント

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過保護な介護 (げんき)
2011-01-21 07:09:50
いつも先生の記事は、私の日常とリンクしているような気にさせられます。

今まで私は職場の雰囲気から、職員の介護意識にかかわる
部分について自らが発信することはありませんでした。

しかしサザンパークを見学し、施設や職員が意識を持って
サービスを提供することが、利用者さんの
残存能力の維持、向上につながることを目の当たりにし、
一昨日、職員の連絡ノートに「過介護にならないように」と
初めて意識の持ち方について書いてみました。

本来、トップダウンでこのような指示があるべきと思いますし、
末端のパート職員が言うべきことではないと思いましたが、
利用者さんのために勇気をもって書いてみました。

このような研究論文があることを知り、少しほっとしています。

サザンパーク (bonn1979)
2011-01-22 06:53:23
げんきさん

コメントありがとうございます。

昨日の記事は
読んだ時間を入れると
2時間はかかったので
コメントをいただいて
嬉しいです。

サザンパークのことは
JUNKOさんのところで
ときこさんの記事などを
とりあげていましたね。

2月6日には
山下氏も見えると聞きました。

嘆いている間に
進んでいる人を知り学ぶのが一番ですね。

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