介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第2960号 山下利恵子「ドイツ介護保険と社会扶助の相互関係」

2009-06-06 08:46:31 | 地球→ドイツブログ
写真は、奄美・加計呂麻島なんでもありBLOGの6月4日付記事からお借りしました。

日本社会福祉学会の九州部会の学会誌『九州社会福祉学』(年1回)の最近号(2009、第5号)については、このブログでも、第2927号(5/26)、第2952号(6/02)と紹介してきました。

今日ご紹介するのは、
山下利恵子「ドイツ介護保険と社会扶助の相互関係」です。pp.19-29
*鹿児島国際大学大学院博士課程3年

キーワード:
介護保険、介護扶助、需要充足の原則、要介護概念、制度の位置と役割

【構成】
はじめに
1.介護保険導入と介護扶助の動向
2.社会扶助(介護扶助)
 1)介護扶助の位置
 2)介護扶助の実施責任および財政負担
 3)所得および資産の活用
 4)介護扶助の給付
3.介護保険法および社会扶助法の要介護概念
 1)介護保険法の要介護概念
 2)介護扶助の要介護概念
まとめ

【この論文のポイント】
ドイツの介護保険と介護扶助(日本の生活保護でいう「介護扶助」に相当する)を対比して、その隙間にある問題の処理を分析することによって、日本の介護保険の問題点を浮かびあげている。

つまり、「介護保険」は、あくまでも「社会保険」なので、保険料負担ができなかった人など、介護保険では救済されない人がでてきます。

この手当てが、ドイツでは手を打ってあり、日本では欠落している。それは、法制上、どのような理由があってのことか。

ドイツ社会扶助法では、我が国の生活保護の扶助に加えて福祉サービス法の一部を含んだ制度になっているからである。

【日本での対応】
このような考察から、日本において介護保険の適用を受けられない被保護者を普遍的社会保障である社会保険の中に明確に位置づけること、生活保護制度は、保険制度と連携して、保険料や一部負担が過重となっている者への所得保障を中心とすべきだと提言している。p.28

*基本の先行研究(木下秀雄、田中謙一、松本勝明、本沢巳代子)を踏まえ、日独の対比から、日本の課題に迫っている。
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