介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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介護保険法を見直す

2007-12-27 07:10:06 | 介護福祉
【経緯】
介護保険法は、「介護の社会化」を狙いに2000年度から施行された。
検討が不十分という意味の「時期尚早論」もあったが、当時の政治状況を
考えると、よく成立したと思います。
(成立の経過から、この法律については、民主党もよく理解し、支持していると思う)

問題は、
2005年に改正(2006年4月から施行。一部は、2005年10月施行)された内容であり、
今、全国の現場では、「介護の社会化」を疑わせる状況が起きている。
このブログで、おととい(12月25日)、新シリーズ【日本の論点2008】の第1回として、介護保険法改正後の状況をとりあげた。
(服部万里子稿)
時間がなく、その項目だけしか紹介しなかったので、今日は、各項目で統計などで示された問題を素材に考えてみます。

【自己負担の増加】
改定前の要支援と要介護1は、全体の49%あったが、これが「予防給付」に移された。この該当者は、状態は変わらないのに、給付対象外となり、ベッド・車椅子も原則として給付からはずされた。
給付対象者を削減するするという改正法の狙いどうり、2006年度は対前年度で受給者が減少した。給付費も、6兆1724億円となり、1233億円の削減となった。

【重度要介護者の負担】
施設入居者については、2005年10月から、居住費のほか食料費も給付対象外となり、介護給付の1割負担を加えると、月額の自己負担は13~14万円となった。
(低所得者には軽減措置があるが)45%の人は、この金額の全額を負担している。
介護療養型医療施設の廃止が2011年度に予定されており、重度の人の行き場がなくなってきた。

【職員の待遇の悪化】
居宅サービス事業者のサービス量が減少した。(訪問介護の場合、2007円1月では前年同月の3.2%減少した。福祉用具の場合、19.4%減少した)
3年ごとに決められる介護報酬が、2003年では2.3%の引き下げ、2006年では2.4%の引き下げとなった。
このような収入源は、介護事業に勤務する介護専門職の賃金水準を押し下げることとなった。「挫折離職」の発生である。

【不正請求】
他方で、2006年の12月に大手のコムスンの不正請求で話題になったように介護報酬の不正請求が絶えない。これは、ケアマネジャーの94%が併設事業所に勤務するという体制にもよるとされる。当時、規制緩和の大合唱の中で、事前規制ではなく事後規制とされたことも関係している。

【高齢者の人権】
こういった状況は、高齢者への虐待をうむなど、介護保険以前の時代に戻った感すらある。2009年度には、3年後との報酬の見直しが予定されている。

【関連ブログ・サイト】
・本ブログ12/25 服部万里子の問題提起
    11/19 2008年度の大学院での講義で現状を論議する。
・「岩清水日記」(BOOKMARK)12/25にこのブログで展開されている介護保険2005改正の総括シリーズへ私ののコメントをした。
・認知症の人と家族の会の介護保険への提言(2007.11.1)
が同会のホームページで公開されている。
 ←私のホームページ(「高齢者福祉学」の項目の冒頭)でリンクしている三宅貴夫先生の「認知症なんでもサイト」で家族会をリンクしています。

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